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1071秋元殿御返事

1,071ページ

得ん、是の師に随順して学ばば恒沙の仏を見奉る事を得ん」との金言違ふべきや、提婆品に云ふ「所生の処常に此の経を聞く」の人はあに貴辺にあらずや、其の故は次上に「未来世中・若有善男子・善女人」と見えたり、善男子とは法華経を持つ俗の事なり弥信心をいたし給うべし、信心をいたし給うべし、恐恐謹言。  正月十一日

1072秋元御書

1,072ページ

南無妙法蓮華経・一口は南無阿弥陀仏なんど申すは飯に糞を雑へ沙石を入れたるが如し、法華経の文に「但大乗経典を受持することを楽うて乃至余経の一偈をも受けざれ」等と説くは是なり、世間の学匠は法華経に余行を雑えても苦しからずと思へり、日蓮も・さこそ思い候へども経文は爾らず、譬えば后の大王の種子を妊めるが又民

1073秋元御書

1,073ページ

は名号なり、故に或は六万・八万・四十八万返・或は十返・百返・千返なり、而るを日蓮一人・阿弥陀仏は無間の業・禅宗は天魔の所為・真言は亡国の悪法・律宗・持斎等は国賊なりと申す故に上一人より下万民に至るまで父母の敵・宿世の敵・謀叛・夜討・強盗よりも或は畏れ・或は瞋り・或は詈り・或は打つ、是を訾る者には所領

1074秋元御書

1,074ページ

 日蓮は智人に非ざれども蛇は竜の心を知り烏の世の吉凶を計るが如し、此の事計りを勘へ得て候なり、此の事を申すならば須臾に失に当るべし申さずば又大阿鼻地獄に堕つべし。  法華経を習うには三の義あり一には謗人、勝意比丘・苦岸比丘・無垢論師・大慢婆羅門等が如し、彼等は三衣を身に纒い一鉢を眼に当てて二百五十戒

1075秋元御書

1,075ページ

切の禍集まる、譬えば山に草木の滋きが如し、三災月月に重なり七難日日に来る、飢渇発れば其の国餓鬼道と変じ疫病重なれば其の国地獄道となる軍起れば其の国修羅道と変ず、父母・兄弟・姉妹をば簡ず妻とし夫と憑めば其の国畜生道となる、死して三悪道に堕つるにはあらず現身に其の国四悪道と変ずるなり、此れを謗国と申す。

1076秋元御書

1,076ページ

はぎて法華経を書き奉り肉を積んで供養し給うとも必ず国も滅び身も地獄に堕ち給うべき大なる科あり、唯真言宗・念仏宗・禅宗・持斎等を禁めて身を法華経によせよ、天台の六十巻を空に浮べて国主等には智人と思われたる人人の或は智の及ばざるか、或は知れども世を恐るるかの故に或は真言宗をほめ或は念仏・禅・律等に同ずれ

1077秋元御書

1,077ページ

軽法重・死身弘法と釈せられし是なり、過去遠遠劫より今に仏に成らざりける事は加様の事に恐れて云い出さざりける故なり、未来も亦復是くの如くなるべし今日蓮が身に当りてつみ知られて候、設い此の事を知る弟子等の中にも当世の責のおそろしさと申し露の身の消え難きに依りて或は落ち或は心計りは信じ或はとかうす、御経の

1078秋元御書

1,078ページ

此れは後なり、前に西より東へ波木井河の内に一つの滝あり身延河と名けたり、中天竺の鷲峰山を此の処へ移せるか将又漢土の天台山の来れるかと覚ゆ、此の四山・四河の中に手の広さ程の平かなる処あり、爰に庵室を結んで天雨を脱れ・木の皮をはぎて四壁とし、自死の鹿の皮を衣とし、春は蕨を折りて身を養ひ秋は果を拾いて命を

1079兄弟抄

1,079ページ

 兄 弟 抄 文永十二年四月 五十四歳御作  与池上兄弟 於身延  夫れ法華経と申すは八万法蔵の肝心十二部経の骨髄なり、三世の諸仏は此の経を師として正覚を成じ十方の仏陀は一乗を眼目として衆生を引導し給ふ、今現に経蔵に入つて此れを見るに後漢の永平より唐の末に至るまで渡れる所の一切経論に二本あり、所謂

1080兄弟抄

1,080ページ

堕ちゆきて後には人天の善根・後に悪にをちぬ、かくのごとく堕ちゆく程に三千塵点劫が間、多分は無間地獄少分は七大地獄たまたまには一百余の地獄まれには餓鬼・畜生・修羅なんどに生れ大塵点劫なんどを経て人天には生れ候けり。  されば法華経の第二の巻に云く「常に地獄に処すること園観に遊ぶが如く余の悪道に在ること

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日蓮大聖人御書

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