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1391松野殿後家尼御前御返事

1,391ページ

たまたま生れたりといへども南無妙法蓮華経と唱へず、となふる事はゆめにもなし人の申すをも聞かず、仏のたとへを説かせ給うに一眼の亀の浮木の穴に値いがたきにたとへ給うなり、心は大海の中に八万由旬の底に亀と申す大魚あり、手足もなくひれもなし・腹のあつき事はくろがねのやけるがごとし、せなかのこうのさむき事は雪

1392松野殿後家尼御前御返事

1,392ページ

経にはあひがたきに譬へたり、たとひ栴檀には値うとも相応したる穴にあひがたきに喩うるなり、設ひ法華経には値うとも肝心たる南無妙法蓮華経の五字をとなへがたきにあひたてまつる事の・かたきにたとう、東を西と見・北を南と見る事をば我れ等衆生かしこがほに智慧有る由をして勝を劣と思ひ劣を勝と思ふ、得益なき法をば得

1393松野殿後家尼御前御返事

1,393ページ

 但日蓮一人ばかり日本国に始めて是を唱へまいらする事、去ぬる建長五年の夏のころより今に二十余年の間・昼夜朝暮に南無妙法蓮華経と是を唱うる事は一人なり、念仏申す人は千万なり、予は無縁の者なり念仏の方人は有縁なり高貴なり、然れども師子の声には一切の獣・声を失ふ虎の影には犬恐る、日天東に出でぬれば万星の光

1394松野殿女房御返事

1,394ページ

 松野殿女房御返事  麦一箱・いゑのいも一籠・うり一籠・旁の物六月三日に給候しを今まで御返事申し候はざりし事恐れ入つて候、此の身延の沢と申す処は甲斐の国の飯井野・御牧・波木井の三箇郷の内・波木井の郷の戌亥の隅にあたりて候、北には身延の嶽・天をいただき南には鷹取が嶽・雲につづき東には天子の嶽日とた

1395松野殿女房御返事

1,395ページ

 松野殿女房御返事  白米一斗・芋一駄・梨子一籠・名荷・はじかみ・枝大豆・ゑびね旁の物給び候ぬ、濁れる水には月住まず枯たる木には鳥なし、心なき女人の身には仏住み給はず、法華経を持つ女人は澄める水の如し釈迦仏の月宿らせ給う、譬へば女人の懐み始めたるには吾身には覚えねども、月漸く重なり日も屢過ぐれば

1396松野尼御前御返事

1,396ページ

りがたし、恐恐。  正月二十一日 日 蓮 在御判  松の尼御前御返事

1397浄蔵浄眼御消息

1,397ページ

況や第六天の魔王をや、魔王は前には主なりしかども今は敬ひ畏れて、あしうせば法華経・十方の諸仏の御見参にあしうや入らんずらんと恐れ畏て供養をなすなり、何にしても六道の一切衆生をば法華経へ・つけじと・はげむなり、然るに何なる事にや・をはすらん皆人の憎み候日蓮を不便とおぼして、かく遙遙と山中へ種種の物送り

1398刑部左衛門尉女房御返事

1,398ページ

孝の二字を骨とし内典五千余巻には孝養を眼とせり、不孝の者をば日月も光ををしみ地神も瞋をなすと見へて候、或経に云く六道の一切衆生仏前に参り集りたりしに仏彼れ等が身の上の事を一一に問い給いし中に・仏地神に汝大地より重きものありやと問い給いしかば地神敬んで申さく大地より重き物候と申す、仏の曰くいかに地神偏

1399刑部左衛門尉女房御返事

1,399ページ

ば五体やすからず、かくの如くして産も既に近づきて腰はやぶれて・きれぬべく眼はぬけて天に昇るかとをぼゆ、かかる敵をうみ落しなば大地にも・ふみつけ腹をもさきて捨つべきぞかし、さはなくして我が苦を忍びて急ぎいだきあげて血をねぶり不浄をすすぎて胸にかきつけ懐きかかへて三箇年が間慇懃に養ふ、母の乳をのむ事・一

1400刑部左衛門尉女房御返事

1,400ページ

は炭をおこせるが如し、身は灯炬の如くもえあがりしかば神通を現じて水を出だして消す処に・水変じて炎となり弥火炎のごとくもゑあがる、目連自力には叶はざる間・仏の御前に走り参り申してありしかば、十方の聖僧を供養し其の生飯を取りて纔に母の餓鬼道の苦をば救い給へる計りなり・釈迦仏は御誕生の後・七日と申せしに母

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日蓮大聖人御書

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