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1561上野殿御返事

1,561ページ

 かれは人の上とこそ・みしかども今は我等がみにかかれり、願くは我が弟子等・大願ををこせ、去年去去年のやくびやうに死にし人人の・かずにも入らず、又当時・蒙古のせめに・まぬかるべしともみへず、とにかくに死は一定なり、其の時のなげきは・たうじのごとし、をなじくは・かりにも法華経のゆへに命をすてよ、つゆを大

1562上野殿御返事

1,562ページ

文をこのむ王に武のすてられ・いろをこのむ人に正直物のにくまるるがごとく・念仏と禅と真言と律とを信ずる代に値うて法華経を・ひろむれば王臣・万民ににくまれて・結句は山中に候へば天いかんが計らわせ給うらむ、五尺のゆきふりて本よりも・かよわぬ山道ふさがり・といくる人もなし、衣もうすくて・かんふせぎがたし・食

1563上野殿御返事

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 上野殿御返事  故上野殿・御忌日の僧饍料米一たはら・たしかに給び候い畢んぬ、御仏に供しまいらせて自我偈一巻よみまいらせ候べし。  孝養と申すは・まづ不孝を知りて孝をしるべし、不孝と申すは酉夢と云う者・父を打ちしかば天雷身をさく・班婦と申せし者・母をのりしかば毒蛇来りてのみき、阿闍世王・父をころ

1564上野殿御返事

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せたる不孝第一の人なり、波瑠璃王のごとく現身に無間大城におち・阿闍世王の如く即身に白癩病をも・つきぬべかりしが、四十二年と申せしに法華経を説き給いて「是の人滅度の想を生じて涅槃に入ると雖も而も彼の土に於て仏の智慧を求めて是の経を聞くことを得ん」と、父母の御孝養のために法華経を説き給いしかば、宝浄世界

1565上野殿御返事

1,565ページ

くまるるかのゆへに・あつわらのものに事をよせて・かしこ・ここをもせかれ候こそ候いめれ、さればとて上に事をよせて・せかれ候はんに御もちゐ候はずは物をぼへぬ人に・ならせ給うべし、をかせ給いて・あしかりぬべきやうにて候わば・しばらく・かうぬし等をば・これへとをほせ候べし、めこなんどはそれに候とも・よも御た

1566上野殿御返事

1,566ページ

 上野殿御返事  女子は門をひらく・男子は家をつぐ・日本国を知つても子なくば誰にか・つがすべき、財を大千にみてても子なくば誰にかゆづるべき、されば外典三千余巻には子ある人を長者といふ、内典五千余巻には子なき人を貧人といふ、女子一人・男子一人・たとへば天には日月のごとく・地には東西にかたどれり、鳥

1567上野殿御書

1,567ページ

 上野殿御書  大海の一渧は五味のあぢわい・江河の一渧は一つの薬なり、大海の一渧は万種の瓦のごとし、南無阿弥陀仏は一河の一渧・南無妙法蓮華経は大海の一渧・阿弥陀経は小河の一てい・法華経の一乗は大海の一てい、故五郎殿の十六年が間の罪は江河の一てい、須臾の間の南無妙法蓮華経は大海の一ていのごとし、夫れ

1568上野殿御書

1,568ページ

臨終・目出たく候いけり、心は父君と一所に霊山浄土に参りて・手をとり頭を合せてこそ悦ばれ候らめ、あはれなり・あはれなり。

1569上野殿母御前御返事

1,569ページ

に勝れりと申して候は・くるしからず還つて大功徳となり候、経文の如くなるが故なり。  此の法華経の始に無量義経と申す経おはします、譬えば大王の行幸の御時・将軍前陣して狼籍をしづむるが如し、其の無量義経に云く「四十余年には未だ真実を顕さず」等云云、此れは将軍が大王に敵する者を大弓を以て射はらひ・又太刀を

1570上野殿母御前御返事

1,570ページ

すなり、正直捨方便と申す文の心是なり、足代より塔は出来して候へども塔を捨てて・足代ををがむ人なし、今の世の道心者等・一向に南無阿弥陀仏と唱えて一生をすごし・南無妙法蓮華経と一返も唱へぬ人人は大塔をすてて足代ををがむ人人なり、世間にかしこく・はかなき人と申すは是なり。  故七郎五郎殿は当世の日本国の人

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日蓮大聖人御書

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