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261撰時抄

261ページ

の四五人、前の五百余年が間は大乗経の法門少少・出来せしかども・とりたてて弘通し給はず、但小乗経を面としてやみぬ、已上大集経の先五百年解脱堅固の時なり、正法の後六百年・已後一千年が前・其の中間に馬鳴菩薩・毘羅尊者・竜樹菩薩・提婆菩薩・羅睺尊者・僧佉難提・僧伽耶奢・鳩摩羅駄・闍夜那・盤陀・摩奴羅・鶴勒夜

262撰時抄

262ページ

名・思益等の経経に対すれば真実なり了義経・正見なりしかりといへども涅槃経に対すれば無常教・不了義経・邪見の経等云云、漢より四百余年の末へ五百年に入つて陳隋二代に智顗と申す小僧一人あり後には天台智者大師と号したてまつる、南北の邪義をやぶりて一代聖教の中には法華経第一・涅槃経第二・華厳経第三なり等云云、

263撰時抄

263ページ

るかの間内内はゆはれなき由は存じけれども天台のごとく公場にして論ぜられざりければ上国王大臣・下一切の人民にいたるまで皆仏法に迷いて衆生の得道みなとどまりけり、此等は像法の後の五百年の前二百余年が内なり、像法に入つて四百余年と申しけるに百済国より一切経並びに教主釈尊の木像・僧尼等・日本国にわたる、漢土

264撰時抄

264ページ

をとされて六宗・七寺・一同に御弟子となりぬ、例せば漢土の南北の諸師・陳殿にして天台大師にせめおとされて御弟子となりしがごとし、此れはこれ円定・円慧計りなり其の上天台大師のいまだせめ給はざりし小乗の別受戒をせめをとし六宗の八大徳に梵網経の大乗別受戒をさづけ給うのみならず法華経の円頓の別受戒を叡山に建立

265撰時抄

265ページ

地に堕ちず、あたかもこれ大海のしをの時をたがへざるがごとし、是をもつて案ずるに大集経の白法隠没の時に次いで法華経の大白法の日本国並びに一閻浮提に広宣流布せん事も疑うべからざるか、彼の大集経は仏説の中の権大乗ぞかし、生死をはなるる道には法華経の結縁なき者のためには未顕真実なれども六道・四生・三世の事を

266撰時抄

266ページ

あだせん者の罪にも百千万億倍すぎたるべしと・とかせ給へり、而るを今の日本国の国主・万民等・雅意にまかせて父母・宿世の敵よりもいたくにくみ謀反・殺害の者よりも・つよくせめぬるは現身にも大地われて入り天雷も身をさかざるは不審なり、日蓮が法華経の行者にてあらざるか・もししからばををきになげかし、今生には万

267撰時抄

267ページ

巻を造りて法華経の淵底を極めたり、像法の末に伝教大師・日本に出現して天台大師の円慧・円定の二法を我が朝に弘通せしむるのみならず円頓の大戒場を叡山に建立して日本一州皆同じく円戒の地になして上一人より下万民まで延暦寺を師範と仰がせ給う豈に像法の時法華経の広宣流布にあらずや、答えて云く如来の教法は必ず機に

268撰時抄

268ページ

 疑つて云く汝がごとくに料簡せる人ありや、答えて云く天台云く「中論を以て相比すること莫れ」又云く「天親竜樹内鑒泠然にして外は時の宜きに適う」等云云、妙楽云く「破会を論ぜば未だ法華に若かざる故に」云云、従義の云く「竜樹天親未だ天台に若かず」云云、問うて云く唐の末に不空三蔵一巻の論をわたす其の名を菩提心

269撰時抄

269ページ

ば我が経をすてよと常に高座にしてとかせ給しなり、上一人より下万民にいたるまで願じて云く願くは羅什三蔵より後に死せんと、終に死し給う後焼きたてまつりしかば不浄の身は皆灰となりぬ御舌計り火中に青蓮華生て其の上にあり五色の光明を放ちて夜は昼のごとく昼は日輪の御光をうばい給いき、さてこそ一切の訳人の経経は軽

270撰時抄

270ページ

破すべきをば・これをはし取るべきをば此れを用う、其の上・止観十巻を注して一代の観門を一念にすべ十界の依正を三千につづめたり、此の書の文体は遠くは月支・一千年の間の論師にも超え近くは尸那五百年の人師の釈にも 勝れたり、故に三論宗の吉蔵大師・南北一百余人の先達と長者らをすすめて天台大師の講経を聞けと勧む

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日蓮大聖人御書

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