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571三世諸仏総勘文教相廃立

571ページ

身の中に有つて一人も漏るること無しと通達し解了し仏語を悟り極むるなり起法界信とは十法界を体と為し十法界を心と為し十法界を形と為したまえりと本覚の如来は我が身の中に有りけりと信ず増円妙道とは自行と化他との二は相即円融の法なれば珠と光と宝との三徳は只一の珠の徳なるが如し片時も相離れず仏法に不足無し一生の

572三世諸仏総勘文教相廃立

572ページ

不可思議の徳用を顕す、諸経の衆水は片時の程も法華経の大海を納るること無し自行と化他との勝劣是くの如し一を以て諸を例せよ、上来の譬喩は皆仏の所説なり人の語を入れず此の旨を意得れば一代聖教鏡に懸けて陰り無し此の文釈を見て誰の人か迷惑せんや、三世の諸仏の総勘文なり敢て人の会釈を引き入る可からず三世諸仏の出

573三世諸仏総勘文教相廃立

573ページ

逐うて理に準じて我が宗の理なり徴べし、因明の道理は外道と対す多くは小乗及以び別教に在り若し法華・華厳・涅槃等の経に望むれば接引門なり権りに機に対して設けたり終に以て引進するなり邪小の徒をして会して真理に至らしむるなり所以に論ずる時は四依撃目の志を存して之を執着すること莫れ又須らく他の義を将つて自義に

574三世諸仏総勘文教相廃立

574ページ

居と方便と実報の三土をば鏡に遷る像に譬う四土も一土なり三身も一仏なり今は此の三身と四土と和合して仏の一体の徳なるを寂光の仏と云う寂光の仏を以て円教の仏と為し円教の仏を以て寤の実仏と為す余の三土の仏は夢中の権仏なり、此れは三世の諸仏の只同じ語に勘文し給える総の教相なれば人の語も入らず会釈も有らず若し之

575三世諸仏総勘文教相廃立

575ページ

いなば因果を分別して成仏す可き身を以て善知識に値うと雖も猶草木にも劣つて身中の三因仏性を顕さずして黙止せる謂れ有る可きや、此の度必ず必ず生死の夢を覚まし本覚の寤に還つて生死の紲を切る可し今より已後は夢中の法門を心に懸く可からざるなり、三世の諸仏と一心と和合して妙法蓮華経を修行し障り無く開悟す可し自行

576諫暁八幡抄

576ページ

 諫暁八幡抄  夫れ馬は一歳二歳の時は設いつがいのびまろすねにすねほそくうでのびて候へども病あるべしとも見えず、而れども七八歳なんどになりて身もこへ血ふとく上かち下をくれ候へば小船に大石をつめるがごとく小き木に大なる菓のなれるがごとく多くのやまい出来して人の用にもあわず力もよわく寿もみじかし、天

577諫暁八幡抄

577ページ

宗と大乗経と大乗宗とは古の小大乗の経宗にはあらず、天竺より仏法・漢土へわたりし時・小大の経経は金言に私言まじはれり、宗宗は又天竺・漢土の論師・人師或は小を大とあらそい或は大を小という或は小に大をかきまじへ或は大に小を入れ或は先きの経を後とあらそい或は後を先とし或は先を後につけ或は顕経を密経といひ密経

578諫暁八幡抄

578ページ

ん、乃至牧牛女の如く乳を売るに多利を貪らんと欲するを為ての故に二分の水を加う、乃至此の乳水多し、爾の時に是の経閻浮提に於て当に広く流布すべし、是の時に当に諸の悪比丘有て是の経を鈔略し分て多分と作し能く正法の色香美味を滅すべし、是の諸の悪人復是くの如き経典を読誦すと雖も如来の深密の要義を滅除せん、乃至

579諫暁八幡抄

579ページ

薩と成りて永く無間大城に沈み候べし、故に扶桑記に云く「又伝教大師八幡大菩薩の奉為に神宮寺に於て、自ら法華経を講ず、乃ち聞き竟て大神託宣すらく我法音を聞かずして久しく歳年を歴る幸い和尚に値遇して正教を聞くことを得たり兼て我がために種種の功徳を修す至誠随喜す何ぞ徳を謝するに足らん、兼て我が所持の法衣有り

580諫暁八幡抄

580ページ

に高雄寺に主上・行幸ならせ給いて六宗の碩徳と伝教大師とを召し合はせられて宗の勝劣を聞し食ししに南都の十四人皆口を閉ぢて鼻のごとくす、後に重ねて怠状を捧げたり、其の状に云く「聖徳の弘化より以降た今に二百余年の間・講ずる所の経論其の数多し、彼れ此れ理を争い其の疑未だ解けず而も此の最妙の円宗猶未だ闡揚せず

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