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581諫暁八幡抄

581ページ

婆達多が大覚世尊の御袈裟をかけたるがごとし、又猟師が仏衣を被て師子の皮をはぎしがごとし、当世叡山の座主は伝教大師の八幡大菩薩より給て候し御袈裟をかけて法華経の所領を奪ひ取りて真言の領となせり、譬へば阿闍世王の提婆達多を師とせしがごとし。  而るを大菩薩の此の袈裟をはぎかへし給わざるは第一の大科なり、

582諫暁八幡抄

582ページ

神は平家の氏神なり平家ををごらせし失に伊勢太神宮・八幡等に神うちに打ち失われて其の後平家ほどなく・ほろび候いぬ此れも又かくのごとし。  法華経の第四に云く「仏滅度の後能く其の義を解せんは是れ諸の天人世間の眼なり」等云云、日蓮が法華経の肝心たる題目を日本国に弘通し候は諸天・世間の眼にあらずや、眼には五

583諫暁八幡抄

583ページ

心腑と為し顕本遠寿を以て其の命と為す」等云云、而るを日本国の習い真言師にもかぎらず諸宗一同に仏眼の印をもつて開眼し大日の真言をもつて五智を具足すと云云 此等は法華経にして仏になれる衆生を真言の権経にて供養すれば還つて仏を死し眼をくじり寿命を断ち喉をさきなんどする人人なり、提婆が教主釈尊の身より血を出

584諫暁八幡抄

584ページ

わするゆへに天のせめを被り給いぬるなり、我が弟子等の内・謗法の余慶有る者の思いていわく此の御房は八幡をかたきとすと云云、これいまだ道理有りて法の成就せぬには本尊をせむるという事を存知せざる者の思いなり付法蔵経と申す経に大迦葉尊者の因縁を説いて云く「時に摩竭国に婆羅門有り尼倶律陀と名づく過去の世に於て

585諫暁八幡抄

585ページ

 今日蓮は去ぬる建長五年癸丑四月二十八日より今年弘安三年太歳庚辰十二月にいたるまで二十八年が間又他事なし、只妙法蓮華経の七字五字を日本国の一切衆生の口に入れんとはげむ計りなり、此れ即母の赤子の口に乳を入れんとはげむ慈悲なり此れ又時の当らざるにあらず已に仏記の五五百歳に当れり、天台・伝教の御時は時いま

586諫暁八幡抄

586ページ

んよりも其の口に我が小呪を一反も見つべし一切の在家の者の云く善導和尚は法華経をば千中無一・法然上人は捨閉閣抛・道綽禅師は未有一人得者と定めさせ給へり汝がすすむる南無妙法蓮華経は我が念仏の障りなり我等設い悪をつくるともよも唱えじ一切の禅宗の云く我が宗は教外別伝と申して一切経の外に伝へたる最上の法門なり

587諫暁八幡抄

587ページ

日経えすかし入れ、弘法等の三大師は法華経の名をかきあげて戯論なんどかかれて候大科を明らめずして此の四百余年一切衆生を皆謗法の者となせり、例せば大荘厳仏の末の四比丘が六百万億那由佗の人を皆無間地獄に堕せると、師子音王仏の末の勝意比丘が無量無辺の持戒の比丘・比丘尼・うばそく・うばいを皆阿鼻大城に導きしと

588諫暁八幡抄

588ページ

仏・迹には不妄語の八幡大菩薩なり、八葉は八幡・中台は教主釈尊なり、四月八日・寅の日に生まれ八十年を経て二月十五日申の日に隠れさせ給う、豈に教主の日本国に生まれ給うに有らずや、大隅の正八幡宮の石の文に云く「昔し霊鷲山に在つて妙法華経を説き今正宮の中に在て大菩薩と示現す」等云云、法華経に云く「今此三界」

589諫暁八幡抄

589ページ

は西より東に向へり月氏の仏法の東へ流るべき相なり、日は東より出づ日本の仏法の月氏へかへるべき瑞相なり、月は光あきらかならず在世は但八年なり、日は光明・月に勝れり五五百歳の長き闇を照すべき瑞相なり、仏は法華経謗法の者を治し給はず在世には無きゆへに、末法には一乗の強敵充満すべし不軽菩薩の利益此れなり、各

590二乗作仏事

590ページ

て生長することを得ず所謂声聞と縁覚となり等云云二乗作仏を許さずと云う事分明なり、若し爾らば本文は十界互具と見えたれども実には二乗作仏無ければ十界互具を許さざるか、其の上爾前の経は法華経を以て定む可し既に除先修習等云云と云う華厳は二乗作仏無しと云う事分明なり方等般若も又以て此くの如し。  惣じて爾前の

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日蓮大聖人御書

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