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崇峻天皇御書
1,174ページ

る、汝は聖智の者と聞く朕を相してまいらせよと云云、太子三度まで辞退申させ給いしかども頻の勅宣なれば止みがたくして敬いて相しまいらせ給う、君は人に殺され給うべき相ましますと、王の御気色かはらせ給いて・なにと云う証拠を以て此の事を信ずべき、太子申させ給はく御眼に赤き筋とをりて候人にあだまるる相なり、皇帝勅宣を重ねて下し・いかにしてか此の難を脱れん、太子の云く免脱がたし但し五常と申すつはものあり此れを身に離し給わずば害を脱れ給はん、此のつはものをば内典には忍波羅蜜と申して六波羅蜜の其の一なりと云云、且くは此れを持ち給いてをはせしが・ややもすれば腹あしき王にて是を破らせ給いき、或時人・猪の子をまいらせたりしかば・こうがいをぬきて猪の子の眼をづぶづぶと・ささせ給いていつか・にくしと思うやつをかくせんと仰せありしかば、太子其の座にをはせしが、あらあさましや・あさましや・君は一定人にあだまれ給いなん、此の御言は身を害する剣なりとて太子多くの財を取り寄せて御前に此の言を聞きし者に御ひきで物ありしかども、有人蘇我の大臣・馬子と申せし人に語りしかば馬子我が事なりとて東漢直駒・直磐井と申す者の子をかたらひて王を害しまいらせつ、されば王位の身なれども思う事をば・たやすく申さぬぞ、孔子と申せし賢人は九思一言とてここのたびおもひて一度申す、周公旦と申せし人は沐する時は三度握り食する時は三度はき給いき、たしかに・きこしめせ我ばし恨みさせ給うな仏法と申すは是にて候ぞ。
 一代の肝心は法華経・法華経の修行の肝心は不軽品にて候なり、不軽菩薩の人を敬いしは・いかなる事ぞ教主釈尊の出世の本懐は人の振舞にて候けるぞ、穴賢・穴賢、賢きを人と云いはかなきを畜といふ。
 建治三年丁丑九月十一日 日 蓮花押
 四条左衛門尉殿御返事

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タイトル 聖寿 対告衆 述作地
崇峻天皇御書 56 四条金吾 身延

日蓮大聖人御書

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崇峻天皇御書 1,174ページ

る、汝は聖智の者と聞く朕を相してまいらせよと云云、太子三度まで辞退申させ給いしかども頻の勅宣なれば止みがたくして敬いて相しまいらせ給う、君は人に殺され給うべき相ましますと、王の御気色かはらせ給いて・なにと云う証拠を以て此の事を信ずべき、太子申させ給はく御眼に赤き筋とをりて候人にあだまるる相なり、皇帝勅宣を重ねて下し・いかにしてか此の難を脱れん、太子の云く免脱がたし但し五常と申すつはものあり此れを身に離し給わずば害を脱れ給はん、此のつはものをば内典には忍波羅蜜と申して六波羅蜜の其の一なりと云云、且くは此れを持ち給いてをはせしが・ややもすれば腹あしき王にて是を破らせ給いき、或時人・猪の子をまいらせたりしかば・こうがいをぬきて猪の子の眼をづぶづぶと・ささせ給いていつか・にくしと思うやつをかくせんと仰せありしかば、太子其の座にをはせしが、あらあさましや・あさましや・君は一定人にあだまれ給いなん、此の御言は身を害する剣なりとて太子多くの財を取り寄せて御前に此の言を聞きし者に御ひきで物ありしかども、有人蘇我の大臣・馬子と申せし人に語りしかば馬子我が事なりとて東漢直駒・直磐井と申す者の子をかたらひて王を害しまいらせつ、されば王位の身なれども思う事をば・たやすく申さぬぞ、孔子と申せし賢人は九思一言とてここのたびおもひて一度申す、周公旦と申せし人は沐する時は三度握り食する時は三度はき給いき、たしかに・きこしめせ我ばし恨みさせ給うな仏法と申すは是にて候ぞ。
 一代の肝心は法華経・法華経の修行の肝心は不軽品にて候なり、不軽菩薩の人を敬いしは・いかなる事ぞ教主釈尊の出世の本懐は人の振舞にて候けるぞ、穴賢・穴賢、賢きを人と云いはかなきを畜といふ。
 建治三年丁丑九月十一日 日 蓮花押
 四条左衛門尉殿御返事


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