自由語検索 検索結果詳細 御書本文

撰時抄
273ページ

 問ういかなる秘法ぞ先ず名をきき次に義をきかんとをもう此の事もし実事ならば釈尊の二度・世に出現し給うか上行菩薩の重ねて涌出せるかいそぎいそぎ慈悲をたれられよ、彼の玄奘三蔵は六生を経て月氏に入りて十九年・法華一乗は方便教・小乗阿含経は真実教、不空三蔵は身毒に返りて寿量品を阿弥陀仏とかかれたり、此等は東を西という日を月とあやまてり身を苦めてなにかせん心に染てようなし、幸い我等末法に生れて一歩をあゆまずして三祇をこゑ頭を虎にかわずして無見頂相をゑん、答えて云く此の法門を申さん事は経文に候へばやすかるべし但し此の法門には先ず三の大事あり大海は広けれども死骸をとどめず大地は厚けれども不孝の者をば載せず、仏法には五逆をたすけ不孝をばすくう但し誹謗一闡提の者持戒にして第一なるをばゆるされず、此の三のわざはひとは所謂念仏宗と禅宗と真言宗となり、一には念仏宗は日本国に充満して四衆の口あそびとす、二に禅宗は三衣一鉢の大慢の比丘の四海に充満して一天の明導とをもへり、三に真言宗は又彼等の二宗にはにるべくもなし叡
山・東寺・七寺・園城或は官主或は御室或は長吏或は検校なりかの内侍所の神鏡燼灰となりしかども大日如来の宝印を仏鏡とたのみ宝剣西海に入りしかども五大尊をもつて国敵を切らんと思へり、此等の堅固の信心は設い劫石はひすらぐとも・かたぶくべしとはみへず大地は反覆すとも疑心をこりがたし、彼の天台大師の南北をせめ給いし時も此の宗はいまだわたらず此の伝教大師の六宗をしゑたげ給いし時ももれぬ、かたがたの強敵をまぬがれてかへつて大法をかすめ失う、其の上伝教大師の御弟子・慈覚大師・此の宗をとりたてて叡山の天台宗をかすめをとして一向真言宗になししかば此の人には誰の人か敵をなすべき、かかる僻見のたよりをえて弘法大師の邪義をもとがむる人もなし、安然和尚すこし弘法を難ぜんとせしかども只華厳宗のところ計りとがむるににてかへて法華経をば大日経に対して沈めはてぬ、ただ世間のたて入の者のごとし。
 問うて云く此の三宗の謬悞如何答えて云く浄土宗は斉の世に曇鸞法師と申す者あり本は三論宗の人竜樹菩薩の

この御書の最初のページ前のページ
タイトル 聖寿 対告衆 述作地
撰時抄 54   身延

日蓮大聖人御書

検索結果詳細 御書本文

撰時抄 273ページ

 問ういかなる秘法ぞ先ず名をきき次に義をきかんとをもう此の事もし実事ならば釈尊の二度・世に出現し給うか上行菩薩の重ねて涌出せるかいそぎいそぎ慈悲をたれられよ、彼の玄奘三蔵は六生を経て月氏に入りて十九年・法華一乗は方便教・小乗阿含経は真実教、不空三蔵は身毒に返りて寿量品を阿弥陀仏とかかれたり、此等は東を西という日を月とあやまてり身を苦めてなにかせん心に染てようなし、幸い我等末法に生れて一歩をあゆまずして三祇をこゑ頭を虎にかわずして無見頂相をゑん、答えて云く此の法門を申さん事は経文に候へばやすかるべし但し此の法門には先ず三の大事あり大海は広けれども死骸をとどめず大地は厚けれども不孝の者をば載せず、仏法には五逆をたすけ不孝をばすくう但し誹謗一闡提の者持戒にして第一なるをばゆるされず、此の三のわざはひとは所謂念仏宗と禅宗と真言宗となり、一には念仏宗は日本国に充満して四衆の口あそびとす、二に禅宗は三衣一鉢の大慢の比丘の四海に充満して一天の明導とをもへり、三に真言宗は又彼等の二宗にはにるべくもなし叡
山・東寺・七寺・園城或は官主或は御室或は長吏或は検校なりかの内侍所の神鏡燼灰となりしかども大日如来の宝印を仏鏡とたのみ宝剣西海に入りしかども五大尊をもつて国敵を切らんと思へり、此等の堅固の信心は設い劫石はひすらぐとも・かたぶくべしとはみへず大地は反覆すとも疑心をこりがたし、彼の天台大師の南北をせめ給いし時も此の宗はいまだわたらず此の伝教大師の六宗をしゑたげ給いし時ももれぬ、かたがたの強敵をまぬがれてかへつて大法をかすめ失う、其の上伝教大師の御弟子・慈覚大師・此の宗をとりたてて叡山の天台宗をかすめをとして一向真言宗になししかば此の人には誰の人か敵をなすべき、かかる僻見のたよりをえて弘法大師の邪義をもとがむる人もなし、安然和尚すこし弘法を難ぜんとせしかども只華厳宗のところ計りとがむるににてかへて法華経をば大日経に対して沈めはてぬ、ただ世間のたて入の者のごとし。
 問うて云く此の三宗の謬悞如何答えて云く浄土宗は斉の世に曇鸞法師と申す者あり本は三論宗の人竜樹菩薩の


  • 自由語検索
※複数入力の場合、単語をスペースで区切ってください。
検索オプション