御書本文

撰時抄
289ページ

を御用いなからんこそ本意にあらざるに、あまさへ召し出して法華経の第五の巻を懐中せるをとりいだしてさんざんとさいなみ、結句はこうぢをわたしなんどせしかば申したりしなり、日月天に処し給いながら日蓮が大難にあうを今度かわらせ給はずば一つには日蓮が法華経の行者ならざるか忽に邪見をあらたむべし、若し日蓮・法華経の行者ならば忽に国にしるしを見せ給へ若ししからずば今の日月等は釈迦・多宝・十方の仏をたぶらかし奉る大妄語の人なり、提婆が虚誑罪・倶伽利が大妄語にも百千万億倍すぎさせ給へる大妄語の天なりと声をあげて申せしかば忽に出来せる自界反逆難なり、されば国土いたくみだれば我身はいうにかひなき凡夫なれども御経を持ちまいらせ候分斉は当世には日本第一の大人なりと申すなり。
 問うて云く慢煩悩は七慢・九慢・八慢あり汝が大慢は仏教に明すところの大慢にも百千万億倍すぐれたり、彼の徳光論師は弥勒菩薩を礼せず・大慢婆羅門は四聖を座とせり、大天は凡夫にして阿羅漢となのる・無垢論師が五天第一といゐし、此等は皆阿鼻に堕ちぬ無間の罪人なり汝いかでか一閻浮提第一の智人となのれる地獄に堕ちざるべしやおそろしおそろし、答えて云く汝は七慢・九慢・八慢等をばしれりや大覚世尊は三界第一となのらせ給う一切の外道が云く只今天に罰せらるべし大地われて入りなんと、日本国の七寺・三百余人が云く最澄法師は大天が蘇生か鉄腹が再誕か等云云、而りといえども天も罰せずかへて左右を守護し地もわれず金剛のごとし、伝教大師は叡山を立て一切衆生の眼目となる結句七大寺は落ちて弟子となり諸国は檀那となる、されば現に勝れたるを勝れたりという事は慢ににて大功徳なりけるか、伝教大師云く「天台法華宗の諸宗に勝れたるは所依の経に拠るが故に自讃毀他ならず」等云云法華経第七に云く「衆山の中に須弥山これ第一なり此の法華経も亦復かくの如し諸経の中に於て最もこれ其の上なり」等云云、此の経文は已説の華厳・般若・大日経等、今説の無量義経、当説の涅槃経等の五千・七千・月支・竜宮・四王天・忉利天・日月の中の一切経・尽十方界の諸経は土山・黒山・小鉄囲山・大鉄囲

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タイトル 聖寿 対告衆 述作地
撰時抄 54   身延

日蓮大聖人御書

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撰時抄 289ページ

を御用いなからんこそ本意にあらざるに、あまさへ召し出して法華経の第五の巻を懐中せるをとりいだしてさんざんとさいなみ、結句はこうぢをわたしなんどせしかば申したりしなり、日月天に処し給いながら日蓮が大難にあうを今度かわらせ給はずば一つには日蓮が法華経の行者ならざるか忽に邪見をあらたむべし、若し日蓮・法華経の行者ならば忽に国にしるしを見せ給へ若ししからずば今の日月等は釈迦・多宝・十方の仏をたぶらかし奉る大妄語の人なり、提婆が虚誑罪・倶伽利が大妄語にも百千万億倍すぎさせ給へる大妄語の天なりと声をあげて申せしかば忽に出来せる自界反逆難なり、されば国土いたくみだれば我身はいうにかひなき凡夫なれども御経を持ちまいらせ候分斉は当世には日本第一の大人なりと申すなり。
 問うて云く慢煩悩は七慢・九慢・八慢あり汝が大慢は仏教に明すところの大慢にも百千万億倍すぐれたり、彼の徳光論師は弥勒菩薩を礼せず・大慢婆羅門は四聖を座とせり、大天は凡夫にして阿羅漢となのる・無垢論師が五天第一といゐし、此等は皆阿鼻に堕ちぬ無間の罪人なり汝いかでか一閻浮提第一の智人となのれる地獄に堕ちざるべしやおそろしおそろし、答えて云く汝は七慢・九慢・八慢等をばしれりや大覚世尊は三界第一となのらせ給う一切の外道が云く只今天に罰せらるべし大地われて入りなんと、日本国の七寺・三百余人が云く最澄法師は大天が蘇生か鉄腹が再誕か等云云、而りといえども天も罰せずかへて左右を守護し地もわれず金剛のごとし、伝教大師は叡山を立て一切衆生の眼目となる結句七大寺は落ちて弟子となり諸国は檀那となる、されば現に勝れたるを勝れたりという事は慢ににて大功徳なりけるか、伝教大師云く「天台法華宗の諸宗に勝れたるは所依の経に拠るが故に自讃毀他ならず」等云云法華経第七に云く「衆山の中に須弥山これ第一なり此の法華経も亦復かくの如し諸経の中に於て最もこれ其の上なり」等云云、此の経文は已説の華厳・般若・大日経等、今説の無量義経、当説の涅槃経等の五千・七千・月支・竜宮・四王天・忉利天・日月の中の一切経・尽十方界の諸経は土山・黒山・小鉄囲山・大鉄囲


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