御書本文

本尊問答抄
367ページ

智証大師の大日経の旨帰等に云く「大日経第一・法華経第二」等云云、問う汝が意如何、答う釈迦如来・多宝仏・総じて十方の諸仏の御評定に云く已今当の一切経の中に法華最為第一なり云云、問う今日本国中の天台・真言等の諸僧並びに王臣・万民疑つて云く日蓮法師めは弘法・慈覚・智証大師等に勝るべきか如何、答う日蓮反詰して云く弘法・慈覚・智証大師等は釈迦・多宝・十方の諸仏に勝るべきか是一、今日本の国王より民までも教主釈尊の御子なり釈尊の最後の御遺言に云く「法に依つて人に依らざれ」等云云、法華最第一と申すは法に依るなり、然るに三大師等に勝るべしやとの給ふ諸僧・王臣・万民・乃至所従牛馬等にいたるまで不孝の子にあらずや是二、問う弘法大師は法華経を見給はずや、答う弘法大師も一切経を読み給へり、其の中に法華経・華厳経・大日経の浅深・勝劣を読み給うに法華経を読給う様に云く文殊師利此の法華経は諸仏如来秘密の蔵なり諸経の中に於て最も其の下に在り、又読み給う様に云く薬王今汝に告ぐ我が所説の諸経あり而も此の経の中に於て法華最第三云云、又慈覚智証大師の読み給う様に云く諸経の中に於て最も其の中に在り又最為第二等云云、釈迦如来・多宝仏・大日如来・一切の諸仏・法華経を一切経に相対して説いての給はく法華最第一、又説いて云く法華最も其の上に在り云云、所詮釈迦十方の諸仏と慈覚・弘法等の三大師といづれを本とすべきや、但し事を日蓮によせて釈迦・十方の諸仏には永く背きて三大師を本とすべきか如何。
 問う弘法大師は讃岐の国の人勤操僧正の弟子なり、三論・法相の六宗を極む、去る延暦二十三年五月桓武天皇の勅宣を帯びて漢土に入り順宗皇帝の勅に依りて青竜寺に入りて慧果和尚に真言の大法を相承し給へり慧果和尚は大日如来よりは七代になり給う人はかはれども法門はをなじ譬えば瓶の水を猶瓶にうつすがごとし、大日如来と金剛薩埵・竜猛・竜智・金剛智・不空・慧果・弘法との瓶は異なれども所伝の智水は同じ真言なり此の大師・彼の真言を習いて三千の波濤をわたりて日本国に付き給うに平城・嵯峨・淳和の三帝にさづけ奉る、去る弘仁十四年正月

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タイトル 聖寿 対告衆 述作地
本尊問答抄 57 浄顕房日仲 身延

日蓮大聖人御書

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智証大師の大日経の旨帰等に云く「大日経第一・法華経第二」等云云、問う汝が意如何、答う釈迦如来・多宝仏・総じて十方の諸仏の御評定に云く已今当の一切経の中に法華最為第一なり云云、問う今日本国中の天台・真言等の諸僧並びに王臣・万民疑つて云く日蓮法師めは弘法・慈覚・智証大師等に勝るべきか如何、答う日蓮反詰して云く弘法・慈覚・智証大師等は釈迦・多宝・十方の諸仏に勝るべきか是一、今日本の国王より民までも教主釈尊の御子なり釈尊の最後の御遺言に云く「法に依つて人に依らざれ」等云云、法華最第一と申すは法に依るなり、然るに三大師等に勝るべしやとの給ふ諸僧・王臣・万民・乃至所従牛馬等にいたるまで不孝の子にあらずや是二、問う弘法大師は法華経を見給はずや、答う弘法大師も一切経を読み給へり、其の中に法華経・華厳経・大日経の浅深・勝劣を読み給うに法華経を読給う様に云く文殊師利此の法華経は諸仏如来秘密の蔵なり諸経の中に於て最も其の下に在り、又読み給う様に云く薬王今汝に告ぐ我が所説の諸経あり而も此の経の中に於て法華最第三云云、又慈覚智証大師の読み給う様に云く諸経の中に於て最も其の中に在り又最為第二等云云、釈迦如来・多宝仏・大日如来・一切の諸仏・法華経を一切経に相対して説いての給はく法華最第一、又説いて云く法華最も其の上に在り云云、所詮釈迦十方の諸仏と慈覚・弘法等の三大師といづれを本とすべきや、但し事を日蓮によせて釈迦・十方の諸仏には永く背きて三大師を本とすべきか如何。
 問う弘法大師は讃岐の国の人勤操僧正の弟子なり、三論・法相の六宗を極む、去る延暦二十三年五月桓武天皇の勅宣を帯びて漢土に入り順宗皇帝の勅に依りて青竜寺に入りて慧果和尚に真言の大法を相承し給へり慧果和尚は大日如来よりは七代になり給う人はかはれども法門はをなじ譬えば瓶の水を猶瓶にうつすがごとし、大日如来と金剛薩埵・竜猛・竜智・金剛智・不空・慧果・弘法との瓶は異なれども所伝の智水は同じ真言なり此の大師・彼の真言を習いて三千の波濤をわたりて日本国に付き給うに平城・嵯峨・淳和の三帝にさづけ奉る、去る弘仁十四年正月


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