御書本文

災難対治抄
83ページ

行を執せんや行者能く之を思量せよと。
 又云く貞元入蔵録の中・始め大般若経六百巻より法常住経に終るまで顕密の大乗経総じて六百三十七部二千八百八十三巻なり皆須く読誦大乗の一句に摂すべし当に知るべし随他の前には暫く定散の門を開くと雖も随自の後には還つて定散の門を閉づ一たび開きて以後永く閉じざるは唯是れ念仏の一門なり文、又最後結句の文に云く「夫れ速に生死を離れんと欲せば二種の勝法の中に且く聖道門を閣て選んで浄土門に入れ浄土門に入らんと欲せば正雑二行の中に且く諸の雑行を抛て選んで正行に帰すべし」已上選択集の文なり。
 今之を勘うるに日本国中の上下万人深く法然上人を信じて此の書を挊ぶ故に無智の道俗此の書の中の捨閉閣抛等の字を見て浄土の三部経・阿弥陀仏より外は諸経・諸仏菩薩・諸天善神等に於て捨閉閣抛等の思を作し彼の仏経等に於て供養受持等の志を起さず還つて捨離の心を生ず故に古の諸大師等の建立せし所の鎮護国家の道場零落せしむと雖も護惜建立の心無し護惜建立の心無きが故に亦読誦供養の音絶え守護の善神も法味を嘗めざるが故に国を捨てて去り四依の聖人も来らざるなり、偏に金光明・仁王等の一切の聖人去る時は七難必ず起らん我等四王皆悉く捨去せん既に捨離し已れば其の国当に種種の災禍有るべしの文に当れり豈諸悪比丘多く名利を求め、悪世の中の比丘は邪智にして心諂曲の人に非ずや。
 疑つて云く国土に於て選択集を流布せしむるに依つて災難起ると云わば此の書無き已前は国中に於て災難無かりしか、答えて曰く彼の時も亦災難有り云く五常を破り仏法を失いし者之有りしが故なり所謂周の宇文・元嵩等是なり、難じて曰く今の世の災難五常を破りしが故に之起ると云わば何ぞ必ずしも選択集流布の失に依らんや、答えて曰く仁王経に云く「大王・未来の世の中に諸の小国王・四部の弟子諸の悪比丘横に法制を作りて仏戒に依らず亦復仏像の形・仏塔の形を造作することを聴さず七難必ず起らん」と、金光明経に云く「供養し尊重し讃歎

この御書の最初のページ前のページ
タイトル 聖寿 対告衆 述作地
災難対治抄 39   鎌倉

日蓮大聖人御書

検索結果詳細 御書本文

災難対治抄 83ページ

行を執せんや行者能く之を思量せよと。
 又云く貞元入蔵録の中・始め大般若経六百巻より法常住経に終るまで顕密の大乗経総じて六百三十七部二千八百八十三巻なり皆須く読誦大乗の一句に摂すべし当に知るべし随他の前には暫く定散の門を開くと雖も随自の後には還つて定散の門を閉づ一たび開きて以後永く閉じざるは唯是れ念仏の一門なり文、又最後結句の文に云く「夫れ速に生死を離れんと欲せば二種の勝法の中に且く聖道門を閣て選んで浄土門に入れ浄土門に入らんと欲せば正雑二行の中に且く諸の雑行を抛て選んで正行に帰すべし」已上選択集の文なり。
 今之を勘うるに日本国中の上下万人深く法然上人を信じて此の書を挊ぶ故に無智の道俗此の書の中の捨閉閣抛等の字を見て浄土の三部経・阿弥陀仏より外は諸経・諸仏菩薩・諸天善神等に於て捨閉閣抛等の思を作し彼の仏経等に於て供養受持等の志を起さず還つて捨離の心を生ず故に古の諸大師等の建立せし所の鎮護国家の道場零落せしむと雖も護惜建立の心無し護惜建立の心無きが故に亦読誦供養の音絶え守護の善神も法味を嘗めざるが故に国を捨てて去り四依の聖人も来らざるなり、偏に金光明・仁王等の一切の聖人去る時は七難必ず起らん我等四王皆悉く捨去せん既に捨離し已れば其の国当に種種の災禍有るべしの文に当れり豈諸悪比丘多く名利を求め、悪世の中の比丘は邪智にして心諂曲の人に非ずや。
 疑つて云く国土に於て選択集を流布せしむるに依つて災難起ると云わば此の書無き已前は国中に於て災難無かりしか、答えて曰く彼の時も亦災難有り云く五常を破り仏法を失いし者之有りしが故なり所謂周の宇文・元嵩等是なり、難じて曰く今の世の災難五常を破りしが故に之起ると云わば何ぞ必ずしも選択集流布の失に依らんや、答えて曰く仁王経に云く「大王・未来の世の中に諸の小国王・四部の弟子諸の悪比丘横に法制を作りて仏戒に依らず亦復仏像の形・仏塔の形を造作することを聴さず七難必ず起らん」と、金光明経に云く「供養し尊重し讃歎


  • 自由語検索
※複数入力の場合、単語をスペースで区切ってください。
検索オプション