御書本文
三大秘法禀承事
三大秘法禀承事 弘安五年四月 六十一歳御作
与大田金吾
夫れ法華経の第七神力品に云く「要を以て之を言ば如来の一切の所有の法如来の一切の自在の神力如来の一切の秘要の蔵如来の一切の甚深の事皆此経に於て宣示顕説す」等云云、釈に云く「経中の要説の要四事に在り」等云云、問う所説の要言の法とは何物ぞや、答て云く夫れ釈尊初成道より四味三教乃至法華経の広開三顕一の席を立ちて略開近顕遠を説かせ給いし涌出品まで秘せさせ給いし実相証得の当初修行し給いし処の寿量品の本尊と戒壇と題目の五字なり、教主釈尊此の秘法をば三世に隠れ無き普賢文殊等にも譲り給はず況や其の以下をや、されば此の秘法を説かせ給いし儀式は四味三教並に法華経の迹門十四品に異なりき、所居の土は寂光本有の国土なり能居の教主は本有無作の三身なり所化以て同体なり、かかる砌なれば久遠称揚の本眷属・上行等の四菩薩を寂光の大地の底よりはるばると召し出して付属し給う、道暹律師云く「法是れ久成の法なるに由る故に久成の人に付す」等云云、問て云く其の所属の法門仏の滅後に於ては何れの時に弘通し給う可きか、答て云く経の第七薬王品に云く「後の五百歳の中に閻浮提に広宣流布して断絶せしむること無けん」等云云、謹んで経文を拝見し奉るに仏の滅後正像二千年過ぎて第五の五百歳・闘諍堅固・白法隠没の時云云、問て云く夫れ諸仏の慈悲は天月の如し機縁の水澄めば利生の影を普く万機の水に移し給べき処に正像末の三時の中に末法に限ると説き給わば教主釈尊の慈悲に於て偏頗あるに似たり如何、答う諸仏の和光・利物の月影は九法界の闇を照すと雖も謗法一闡提の濁水には影を移さず正法一千年の機の前には唯小乗・権大乗相叶へり、像法一千年には法華経の迹門・機感相応せり、末法の始の五百年には法華経の本門・前後十三品を置きて只寿量品の一品を弘通すべき時なり機法相応せり。
タイトル | 聖寿 | 対告衆 | 述作地 |
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三大秘法禀承事 | 61 | 大田金吾 | 身延 |
日蓮大聖人御書
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三大秘法禀承事
三大秘法禀承事 弘安五年四月 六十一歳御作
与大田金吾
夫れ法華経の第七神力品に云く「要を以て之を言ば如来の一切の所有の法如来の一切の自在の神力如来の一切の秘要の蔵如来の一切の甚深の事皆此経に於て宣示顕説す」等云云、釈に云く「経中の要説の要四事に在り」等云云、問う所説の要言の法とは何物ぞや、答て云く夫れ釈尊初成道より四味三教乃至法華経の広開三顕一の席を立ちて略開近顕遠を説かせ給いし涌出品まで秘せさせ給いし実相証得の当初修行し給いし処の寿量品の本尊と戒壇と題目の五字なり、教主釈尊此の秘法をば三世に隠れ無き普賢文殊等にも譲り給はず況や其の以下をや、されば此の秘法を説かせ給いし儀式は四味三教並に法華経の迹門十四品に異なりき、所居の土は寂光本有の国土なり能居の教主は本有無作の三身なり所化以て同体なり、かかる砌なれば久遠称揚の本眷属・上行等の四菩薩を寂光の大地の底よりはるばると召し出して付属し給う、道暹律師云く「法是れ久成の法なるに由る故に久成の人に付す」等云云、問て云く其の所属の法門仏の滅後に於ては何れの時に弘通し給う可きか、答て云く経の第七薬王品に云く「後の五百歳の中に閻浮提に広宣流布して断絶せしむること無けん」等云云、謹んで経文を拝見し奉るに仏の滅後正像二千年過ぎて第五の五百歳・闘諍堅固・白法隠没の時云云、問て云く夫れ諸仏の慈悲は天月の如し機縁の水澄めば利生の影を普く万機の水に移し給べき処に正像末の三時の中に末法に限ると説き給わば教主釈尊の慈悲に於て偏頗あるに似たり如何、答う諸仏の和光・利物の月影は九法界の闇を照すと雖も謗法一闡提の濁水には影を移さず正法一千年の機の前には唯小乗・権大乗相叶へり、像法一千年には法華経の迹門・機感相応せり、末法の始の五百年には法華経の本門・前後十三品を置きて只寿量品の一品を弘通すべき時なり機法相応せり。
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