御書本文

曾谷入道殿許御書
1,031ページ

げて法華経を流通せんと諸の大菩薩に諫暁せしむ、金色世界の文殊師利・兜史多宮の弥勒菩薩・宝浄世界の智積菩薩・補陀落山の観世音菩薩等・頭陀第一の大迦葉・智慧第一の舎利弗等・三千世界を統領する無量の梵天・須弥の頂に居住する無辺の帝釈・一四天下を照耀せる阿僧祇の日月・十方の仏法を護持する恒沙の四天王・大地微塵の諸の竜王等我にも我にも此の経を付属せられよと競い望みしかども世尊都て之を許したまわず、爾の時に下方の大地より未見・今見の四大菩薩を召し出したもう、所謂上行菩薩・無辺行菩薩・浄行菩薩・安立行菩薩なり、此の大菩薩各各六万恒河沙の眷属を具足す形貌威儀言を以て宣べ難く心を以て量るべからず、初成道の法慧・功徳林・金剛幢・金剛蔵等の四菩薩各各十恒河沙の眷属を具足し仏会を荘厳せしも大集経の欲・色二界の中間大宝坊に於て来臨せし十方の諸大菩薩乃至大日経の八葉の中の四大菩薩も金剛頂経の三十七尊の中の十六大菩薩等も此の四大菩薩に比挍すれば猶帝釈と猿猴と華山と妙高との如し、弥勒菩薩・衆の疑を挙げて云く「乃一人をも識らず」等云云、天台大師云く「寂場より已降今座より已往十方の大士来会絶えず限る可からずと雖も我れ補処の智力を以て悉く見・悉く知る而も此の衆に於ては一人をも識らず」等云云、妙楽云く「今見るに皆識らざる所以は乃至智人は起を知り蛇は自ら蛇を識る」等云云、天台又云く「雨の猛きを見て竜の大なるを知り華の盛なるを見て池の深きを知る」云云、例せば漢王の四将の張良・樊噲・陳平・周勃の四人を商山の四皓・綺里枳・甪里先生・東園公・夏黄公等の四賢に比するが如し天地雲泥なり、四皓が為体頭には白雪を頂き額には四海の波を畳み眉には半月を移し腰には多羅枝を張り恵帝の左右に侍して世を治められたる事・堯舜の古を移し一天安穏なりし事・神農の昔にも異ならず、此の四大菩薩も亦復是くの如し法華の会に出現し三仏を荘厳し謗人の慢幢を倒すこと大風の小樹の枝を吹くが如く衆会の敬心を致すこと諸天の帝釈に従うが如く提婆が仏を打ちしも舌を出して掌を合せ瞿伽梨が無実を構えしも地に臥して失を悔ゆ、文殊等の大聖は身を慙ぢて言を出さず舎利弗等の小聖は智を失して頭を低る、

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タイトル 聖寿 対告衆 述作地
曾谷入道殿許御書 54 曾谷入道・太田金吾 身延

日蓮大聖人御書

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曾谷入道殿許御書 1,031ページ

げて法華経を流通せんと諸の大菩薩に諫暁せしむ、金色世界の文殊師利・兜史多宮の弥勒菩薩・宝浄世界の智積菩薩・補陀落山の観世音菩薩等・頭陀第一の大迦葉・智慧第一の舎利弗等・三千世界を統領する無量の梵天・須弥の頂に居住する無辺の帝釈・一四天下を照耀せる阿僧祇の日月・十方の仏法を護持する恒沙の四天王・大地微塵の諸の竜王等我にも我にも此の経を付属せられよと競い望みしかども世尊都て之を許したまわず、爾の時に下方の大地より未見・今見の四大菩薩を召し出したもう、所謂上行菩薩・無辺行菩薩・浄行菩薩・安立行菩薩なり、此の大菩薩各各六万恒河沙の眷属を具足す形貌威儀言を以て宣べ難く心を以て量るべからず、初成道の法慧・功徳林・金剛幢・金剛蔵等の四菩薩各各十恒河沙の眷属を具足し仏会を荘厳せしも大集経の欲・色二界の中間大宝坊に於て来臨せし十方の諸大菩薩乃至大日経の八葉の中の四大菩薩も金剛頂経の三十七尊の中の十六大菩薩等も此の四大菩薩に比挍すれば猶帝釈と猿猴と華山と妙高との如し、弥勒菩薩・衆の疑を挙げて云く「乃一人をも識らず」等云云、天台大師云く「寂場より已降今座より已往十方の大士来会絶えず限る可からずと雖も我れ補処の智力を以て悉く見・悉く知る而も此の衆に於ては一人をも識らず」等云云、妙楽云く「今見るに皆識らざる所以は乃至智人は起を知り蛇は自ら蛇を識る」等云云、天台又云く「雨の猛きを見て竜の大なるを知り華の盛なるを見て池の深きを知る」云云、例せば漢王の四将の張良・樊噲・陳平・周勃の四人を商山の四皓・綺里枳・甪里先生・東園公・夏黄公等の四賢に比するが如し天地雲泥なり、四皓が為体頭には白雪を頂き額には四海の波を畳み眉には半月を移し腰には多羅枝を張り恵帝の左右に侍して世を治められたる事・堯舜の古を移し一天安穏なりし事・神農の昔にも異ならず、此の四大菩薩も亦復是くの如し法華の会に出現し三仏を荘厳し謗人の慢幢を倒すこと大風の小樹の枝を吹くが如く衆会の敬心を致すこと諸天の帝釈に従うが如く提婆が仏を打ちしも舌を出して掌を合せ瞿伽梨が無実を構えしも地に臥して失を悔ゆ、文殊等の大聖は身を慙ぢて言を出さず舎利弗等の小聖は智を失して頭を低る、


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