御書本文
不思議あり・人是を知らず、譬えば虫の火に入り鳥の蛇の口に入るが如し真言師・華厳宗・法相・三論・禅宗・浄土宗・律宗等の人人は我も法を得たり我も生死を離れたる人とは思へども・立始めし本師等・依経の心をも弁えず、但我が心の思い付いて有りしままに其の経を取り立てんと思へる墓無き心計りにて・法華経に背けば又仏意にも叶わざる事をば知らずして弘め行く程に・国主・万民是を信じぬ又他国へ渡り又年久しく成りぬ、末学の者共・本師の誤をば知らずして弘め習ひし人人をも智者とは思へり、源濁りぬれば流浄からず身曲りぬれば影直からず、真言の元祖・善無畏等は既に地獄に堕ちぬべかりしが・或は改悔して地獄を免れたる者もあり、或は唯依経を弘めて法華経の讃歎をも・せざれば・生死は離れねども悪道に堕ちざる人もあり、而るを末末の者・此の事を知らずして諸人一同に信をなしぬ、譬えば破たる船に乗つて大海に浮び酒に酔る者の火の中に臥せるが如し。
日蓮是を見し故に忽に菩提心を発して此の事を申し始めしなり、世間の人人何に申すとも信ずる事はあるべからず、還つて流罪・死罪せらるべしとは兼て知つてありしかども・今の日本国は法華経に背き釈迦仏を捨つる故に後生は必ず無間大城に堕ちん事はさてをきぬ・今生にも必ず大難に値うべし、所謂他国より責め来つて上一人より下万民に至るまで一同の歎きあるべし、譬えば千人の兄弟が一人の親を殺したらんに此の罪を千に分ては受くべからず、一一に皆無間大城に堕ちて同じく一劫を経べし、此の国も又又是くの如し、娑婆世界は五百塵点劫より已来・教主釈尊の御所領なり、大地・虚空・山海・草木・一分も他仏の有ならず、又一切衆生は釈尊の御子なり、譬えば成劫の始め一人の梵王下つて六道の衆生をば生て候ぞかし、梵王の一切衆生の親たるが如く・釈迦仏も又一切衆生の親なり、又此の国の一切衆生のためには教主釈尊は明師にて・おはするぞかし、父母を知るも師の恩なり黒白を弁うも釈尊の恩なり、而るを天魔の身に入つて候・善導・法然なんどが申すに付いて・国土に阿弥陀堂を造り・或は一郡・一郷・一村等に阿弥陀堂を造り・或は百姓万民の宅ごとに阿弥陀堂を造り・或は宅宅・人人ごと
タイトル | 聖寿 | 対告衆 | 述作地 |
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一谷入道御書 | 54 | 一谷入道日学女房 | 身延 |
日蓮大聖人御書
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一谷入道御書 1,327ページ
不思議あり・人是を知らず、譬えば虫の火に入り鳥の蛇の口に入るが如し真言師・華厳宗・法相・三論・禅宗・浄土宗・律宗等の人人は我も法を得たり我も生死を離れたる人とは思へども・立始めし本師等・依経の心をも弁えず、但我が心の思い付いて有りしままに其の経を取り立てんと思へる墓無き心計りにて・法華経に背けば又仏意にも叶わざる事をば知らずして弘め行く程に・国主・万民是を信じぬ又他国へ渡り又年久しく成りぬ、末学の者共・本師の誤をば知らずして弘め習ひし人人をも智者とは思へり、源濁りぬれば流浄からず身曲りぬれば影直からず、真言の元祖・善無畏等は既に地獄に堕ちぬべかりしが・或は改悔して地獄を免れたる者もあり、或は唯依経を弘めて法華経の讃歎をも・せざれば・生死は離れねども悪道に堕ちざる人もあり、而るを末末の者・此の事を知らずして諸人一同に信をなしぬ、譬えば破たる船に乗つて大海に浮び酒に酔る者の火の中に臥せるが如し。
日蓮是を見し故に忽に菩提心を発して此の事を申し始めしなり、世間の人人何に申すとも信ずる事はあるべからず、還つて流罪・死罪せらるべしとは兼て知つてありしかども・今の日本国は法華経に背き釈迦仏を捨つる故に後生は必ず無間大城に堕ちん事はさてをきぬ・今生にも必ず大難に値うべし、所謂他国より責め来つて上一人より下万民に至るまで一同の歎きあるべし、譬えば千人の兄弟が一人の親を殺したらんに此の罪を千に分ては受くべからず、一一に皆無間大城に堕ちて同じく一劫を経べし、此の国も又又是くの如し、娑婆世界は五百塵点劫より已来・教主釈尊の御所領なり、大地・虚空・山海・草木・一分も他仏の有ならず、又一切衆生は釈尊の御子なり、譬えば成劫の始め一人の梵王下つて六道の衆生をば生て候ぞかし、梵王の一切衆生の親たるが如く・釈迦仏も又一切衆生の親なり、又此の国の一切衆生のためには教主釈尊は明師にて・おはするぞかし、父母を知るも師の恩なり黒白を弁うも釈尊の恩なり、而るを天魔の身に入つて候・善導・法然なんどが申すに付いて・国土に阿弥陀堂を造り・或は一郡・一郷・一村等に阿弥陀堂を造り・或は百姓万民の宅ごとに阿弥陀堂を造り・或は宅宅・人人ごと
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