御書本文
せて有りけるには奉行入道・豊前前司は逃げて落ちぬ、松浦党は数百人打たれ或は生け取にせられしかば・寄せたりける浦浦の百姓ども壱岐対馬の如し、又今度は如何が有るらん彼の国の百千万億の兵・日本国を引回らして寄せて有るならば如何に成るべきぞ、北の手は先ず佐渡の島に付いて地頭・守護をば須臾に打ち殺し百姓等は北山へにげん程に或は殺され或は生け取られ或は山にして死ぬべし、抑是れ程の事は如何として起るべきぞと推すべし、前に申しつるが如く此の国の者は一人もなく三逆罪の者なり、是は梵王・帝釈・日月・四天の彼の蒙古国の大王の身に入らせ給いて責め給うなり。
日蓮は愚なれども釈迦仏の御使・法華経の行者なりとなのり候を・用いざらんだにも不思議なるべし、其の失に依つて国破れなんとす、況や或は国国を追ひ・或は引はり・或は打擲し・或は流罪し・或は弟子を殺し・或は所領を取る、現の父母の使を・かくせん人人よかるべしや、日蓮は日本国の人人の父母ぞかし・主君ぞかし・明師ぞかし・是を背ん事よ、念仏を申さん人人は無間地獄に堕ちん事決定なるべし、たのもし・たのもし。
抑蒙古国より責めん時は如何がせさせ給うべき、此の法華経をいただき頸にかけさせ給いて北山へ登らせ給うとも・年比念仏者を養ひ念仏を申して、釈迦仏・法華経の御敵とならせ給いて有りし事は久しし、又若し命ともなるならば法華経ばし恨みさせ給うなよ、又閻魔王宮にしては何とか仰せあるべき、おこがましき事とはおぼすとも其の時は日蓮が檀那なりとこそ仰せあらんずらめ、又是はさてをきぬ、此の法華経をば学乗房に常に開かさせ給うべし、人如何に云うとも念仏者・真言師・持斎なんどにばし開かさせ給うべからず、又日蓮が弟子となのるとも日蓮が判を持ざらん者をば御用いあるべからず、恐恐謹言。
五月八日 日 蓮 花押
一谷入道女房
タイトル | 聖寿 | 対告衆 | 述作地 |
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一谷入道御書 | 54 | 一谷入道日学女房 | 身延 |
日蓮大聖人御書
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一谷入道御書 1,330ページ
せて有りけるには奉行入道・豊前前司は逃げて落ちぬ、松浦党は数百人打たれ或は生け取にせられしかば・寄せたりける浦浦の百姓ども壱岐対馬の如し、又今度は如何が有るらん彼の国の百千万億の兵・日本国を引回らして寄せて有るならば如何に成るべきぞ、北の手は先ず佐渡の島に付いて地頭・守護をば須臾に打ち殺し百姓等は北山へにげん程に或は殺され或は生け取られ或は山にして死ぬべし、抑是れ程の事は如何として起るべきぞと推すべし、前に申しつるが如く此の国の者は一人もなく三逆罪の者なり、是は梵王・帝釈・日月・四天の彼の蒙古国の大王の身に入らせ給いて責め給うなり。
日蓮は愚なれども釈迦仏の御使・法華経の行者なりとなのり候を・用いざらんだにも不思議なるべし、其の失に依つて国破れなんとす、況や或は国国を追ひ・或は引はり・或は打擲し・或は流罪し・或は弟子を殺し・或は所領を取る、現の父母の使を・かくせん人人よかるべしや、日蓮は日本国の人人の父母ぞかし・主君ぞかし・明師ぞかし・是を背ん事よ、念仏を申さん人人は無間地獄に堕ちん事決定なるべし、たのもし・たのもし。
抑蒙古国より責めん時は如何がせさせ給うべき、此の法華経をいただき頸にかけさせ給いて北山へ登らせ給うとも・年比念仏者を養ひ念仏を申して、釈迦仏・法華経の御敵とならせ給いて有りし事は久しし、又若し命ともなるならば法華経ばし恨みさせ給うなよ、又閻魔王宮にしては何とか仰せあるべき、おこがましき事とはおぼすとも其の時は日蓮が檀那なりとこそ仰せあらんずらめ、又是はさてをきぬ、此の法華経をば学乗房に常に開かさせ給うべし、人如何に云うとも念仏者・真言師・持斎なんどにばし開かさせ給うべからず、又日蓮が弟子となのるとも日蓮が判を持ざらん者をば御用いあるべからず、恐恐謹言。
五月八日 日 蓮 花押
一谷入道女房
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