御書本文

南条殿御返事
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え、をやは生きて候か・しにて候かと申して・いぬの時より法華経をはじめて・とらの時までに・よみければ・なにとなく・をさなきこへはうでんに・ひびきわたり・こころすごかりければ・まいりてありける人人も・かへらん事をわすれにき、皆人いちのやうに・あつまりてみければ・をさなき人にて法師ともをぼえず・をうなにてもなかりけり。
 をりしも・きやうのにゐどの御さんけいありけり、人めをしのばせ給いてまいり給いたりけれども御経のたうとき事つねにもすぐれたりければはつるまで御聴聞ありけりさてかへらせ給いておはしけるがあまりなごりのをしさに人をつけてをきて大将殿へかかる事ありと申させ給いければめして持仏堂にして御経よませまいらせ給いけり。
 さて次の日又御聴聞ありければ西のみかど人さわぎけり、いかなる事ぞとききしかば・今日はめしうどの・くびきらるると・ののしりけり、あわれ・わがをやは・いままで有るべしとは・をもわねども・さすが人のくびをきらるると申せば・我が身のなげきとをもひて・なみだぐみたりけり、大将殿あやしと・ごらんじて・わちごはいかなるものぞ・ありのままに申せとありしかば・上くだんの事・一一に申しけり、をさぶらひにありける大名・小名・みすの内みな・そでをしぼりけり、大将殿・かぢわらをめして・をほせありけるは・大はしの太郎という・めしうど・まいらせよとありしかば・只今くびきらんとて・ゆいのはまへ・つかわし候いぬ、いまはきりてや候らんと申せしかば・このちご御まへなりけれども・ふしころびなきけり、ををせのありけるは・かぢわらわれと・はしりて・いまだ切らずばぐしてまいれとありしかば・いそぎ・いそぎゆいのはまへ・はせゆく、いまだいたらぬに・よばわりければ・すでに頸切らんとて刀をぬきたりけるとき・なりけり。
 さてかじわら・ををはしの太郎を・なわつけながら・ぐしまいりて・ををにはにひきすへたりければ・大将殿こ

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タイトル 聖寿 対告衆 述作地
南条殿御返事 55   身延

日蓮大聖人御書

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南条殿御返事 1,533ページ

え、をやは生きて候か・しにて候かと申して・いぬの時より法華経をはじめて・とらの時までに・よみければ・なにとなく・をさなきこへはうでんに・ひびきわたり・こころすごかりければ・まいりてありける人人も・かへらん事をわすれにき、皆人いちのやうに・あつまりてみければ・をさなき人にて法師ともをぼえず・をうなにてもなかりけり。
 をりしも・きやうのにゐどの御さんけいありけり、人めをしのばせ給いてまいり給いたりけれども御経のたうとき事つねにもすぐれたりければはつるまで御聴聞ありけりさてかへらせ給いておはしけるがあまりなごりのをしさに人をつけてをきて大将殿へかかる事ありと申させ給いければめして持仏堂にして御経よませまいらせ給いけり。
 さて次の日又御聴聞ありければ西のみかど人さわぎけり、いかなる事ぞとききしかば・今日はめしうどの・くびきらるると・ののしりけり、あわれ・わがをやは・いままで有るべしとは・をもわねども・さすが人のくびをきらるると申せば・我が身のなげきとをもひて・なみだぐみたりけり、大将殿あやしと・ごらんじて・わちごはいかなるものぞ・ありのままに申せとありしかば・上くだんの事・一一に申しけり、をさぶらひにありける大名・小名・みすの内みな・そでをしぼりけり、大将殿・かぢわらをめして・をほせありけるは・大はしの太郎という・めしうど・まいらせよとありしかば・只今くびきらんとて・ゆいのはまへ・つかわし候いぬ、いまはきりてや候らんと申せしかば・このちご御まへなりけれども・ふしころびなきけり、ををせのありけるは・かぢわらわれと・はしりて・いまだ切らずばぐしてまいれとありしかば・いそぎ・いそぎゆいのはまへ・はせゆく、いまだいたらぬに・よばわりければ・すでに頸切らんとて刀をぬきたりけるとき・なりけり。
 さてかじわら・ををはしの太郎を・なわつけながら・ぐしまいりて・ををにはにひきすへたりければ・大将殿こ


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