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滝泉寺申状
853ページ

むるの間、頼円は下知に随つて起請を書いて安堵せしむと雖も日禅等は起請を書かざるに依つて所職の住坊を奪い取るの時・日禅は即ち離散せしめ畢んぬ、日秀・日弁は無頼の身たるに依つて所縁を相憑み猶寺中に寄宿せしむるの間此の四箇年の程・日秀等の所職の住坊を奪い取り厳重の御祈禱を打ち止むるの余り悪行猶以て飽き足らず為に法華経行者の跡を削り謀案を構えて種種の不実を申し付くるの条・豈在世の調達に非ずや。
 凡そ行智の所行は法華三昧の供僧・和泉房蓮海を以て法華経を柿紙に作り紺形を彫り堂舎の修治を為す、日弁に御書下を給い構え置く所の上葺榑一万二千寸の内八千寸を之を私用せしむ、下方の政所代に勧め去る四月御神事の最中に法華経信心の行人・四郎男を刄傷せしめ去る八月弥四郎坊男の頸を切らしむ、日秀等頸を刎ぬと擬する事を此の中に書き入れよ無智無才の盗人・兵部房静印より過料を取り器量の仁と称して当寺の供僧に補せしめ、或は寺内の百姓等を催し鶉狩・狸殺・狼落の鹿を取りて別当の坊に於て之を食らい或は毒物を仏前の池に入れ若干の魚類を殺し村里に出して之を売る、見聞の人・耳目を驚かさざるは莫し仏法破滅の基悲んで余り有り。
 此くの如き不善の悪行・日日相積るの間日秀等愁歎の余り依つて上聞を驚かさんと欲す、行智条条の自科を塞がんが為に種種の秘計を廻らし近隣の輩を相語らい遮つて跡形も無き不実を申し付け日秀等を損亡せしめんと擬するの条言語道断の次第なり、冥に付け顕に付け戒めの御沙汰無からんや、所詮仏法の権実沙汰の真偽・淵底を究めて御尋ね有り且は誠諦の金言に任せ且は式条の明文に准じ禁遏を加えられば守護の善神は変を消し擁護の諸天は咲を含まん、然れば則ち不善悪行の院主代・行智を改易せられ将た又本主此の重科を脱れ難からん何ぞ実相寺に例如せん、誤まらざるの道理に任せて日秀・日弁等は安堵の御成敗を蒙むり堂舎を修理せしめ天長地久御祈禱の忠勤を抽んでんと欲す、仍て状を勒し披陳言上件の如し。
 弘安二年十月 日 沙門日秀日弁等上

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タイトル 聖寿 対告衆 述作地
滝泉寺申状 58   富士

日蓮大聖人御書

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むるの間、頼円は下知に随つて起請を書いて安堵せしむと雖も日禅等は起請を書かざるに依つて所職の住坊を奪い取るの時・日禅は即ち離散せしめ畢んぬ、日秀・日弁は無頼の身たるに依つて所縁を相憑み猶寺中に寄宿せしむるの間此の四箇年の程・日秀等の所職の住坊を奪い取り厳重の御祈禱を打ち止むるの余り悪行猶以て飽き足らず為に法華経行者の跡を削り謀案を構えて種種の不実を申し付くるの条・豈在世の調達に非ずや。
 凡そ行智の所行は法華三昧の供僧・和泉房蓮海を以て法華経を柿紙に作り紺形を彫り堂舎の修治を為す、日弁に御書下を給い構え置く所の上葺榑一万二千寸の内八千寸を之を私用せしむ、下方の政所代に勧め去る四月御神事の最中に法華経信心の行人・四郎男を刄傷せしめ去る八月弥四郎坊男の頸を切らしむ、日秀等頸を刎ぬと擬する事を此の中に書き入れよ無智無才の盗人・兵部房静印より過料を取り器量の仁と称して当寺の供僧に補せしめ、或は寺内の百姓等を催し鶉狩・狸殺・狼落の鹿を取りて別当の坊に於て之を食らい或は毒物を仏前の池に入れ若干の魚類を殺し村里に出して之を売る、見聞の人・耳目を驚かさざるは莫し仏法破滅の基悲んで余り有り。
 此くの如き不善の悪行・日日相積るの間日秀等愁歎の余り依つて上聞を驚かさんと欲す、行智条条の自科を塞がんが為に種種の秘計を廻らし近隣の輩を相語らい遮つて跡形も無き不実を申し付け日秀等を損亡せしめんと擬するの条言語道断の次第なり、冥に付け顕に付け戒めの御沙汰無からんや、所詮仏法の権実沙汰の真偽・淵底を究めて御尋ね有り且は誠諦の金言に任せ且は式条の明文に准じ禁遏を加えられば守護の善神は変を消し擁護の諸天は咲を含まん、然れば則ち不善悪行の院主代・行智を改易せられ将た又本主此の重科を脱れ難からん何ぞ実相寺に例如せん、誤まらざるの道理に任せて日秀・日弁等は安堵の御成敗を蒙むり堂舎を修理せしめ天長地久御祈禱の忠勤を抽んでんと欲す、仍て状を勒し披陳言上件の如し。
 弘安二年十月 日 沙門日秀日弁等上


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