御書本文

百六箇抄
861ページ

脱益十二因縁四諦の本迹 経に云く無明乃至老死云云、苦集滅は迹なり道諦は本なり。脱益三土の本迹 報土は本・同居・方便は迹なり。

妙楽云く雖脱在現 本迹理上の一致なり心は寿量品も文は現量なれども上行所伝の本因妙を唱え顕して後は只久遠の教相にて成仏肝要の観心には非ずと云云。 籤一に云く本中体等迹と殊ならず 脱益の妙覚乃至観行相似等の妙法蓮華経は理に即して事を含む、然も本迹一致に非ず破廃立本云云。 玄七に云く権実は智に約し教に約す 化他不定の時施す所の権実八教なり 両所殊ならず 久遠の本・今日の脱益と両所なり。 籤七に云く理浅深無し故に不殊と曰う 本因本果の理を今日中間にも寿量顕本の理に推し入れて顕すと釈するなり。 籤七に云く経に約すれば是れ本門と雖も既に是れ今世迹中の本名本門と為す故に知んぬ、今日正く迹中利益に当る、乃至本成已後倶に中間と名く中間本を顕すに利益を得る者尚迹益を成ず況や復今日をや文。 意は久遠本果の迹を中間・今日の本と為す、又久遠名字の妙法の影を中間今日に垂迹する故に下種に対して脱益寿量を迹と得たる証拠に釈する是なり。 疏の一に云く衆生久遠に仏の善巧を蒙る 久遠下種霊山得脱。 籤十に云く故に知んぬ今日の逗会は昔の成熟の機に赴くことを 霊山下種・久遠得脱の益。 記二に云く本時の自行は唯円と合す 本時とは本因妙の時なり。 化他は不定亦八教有り 中間今日・化導の儀式なり。 玄七に云く迹の本は本に非ず 今日の本果妙の事なり。 本の迹は迹に非ず 本因妙の事なり。 本迹殊なりと雖も不思議一なり 本因妙の外全く迹無きなり迹門は即ち顕本の後は本無今有の方便無得道なりと中島の証俊何にと問われし時、俊範法印答えて云く不思議一と、求めて云く其の義如何、答えて云く文在迹門義在本門云云と、会して云く迹門既に益無し本門益有り本迹勝劣不思議一と云云。 妙楽云く権実は理なり本迹は事なり天台云く本迹を二経と為すと云えり 如来の本迹は理上の法相なり日蓮の本迹は事行の法相なり
 以上・脱の上の本迹勝劣口決畢んぬ

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タイトル 聖寿 対告衆 述作地
百六箇抄 59 日興 身延

日蓮大聖人御書

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百六箇抄 861ページ

脱益十二因縁四諦の本迹 経に云く無明乃至老死云云、苦集滅は迹なり道諦は本なり。脱益三土の本迹 報土は本・同居・方便は迹なり。

妙楽云く雖脱在現 本迹理上の一致なり心は寿量品も文は現量なれども上行所伝の本因妙を唱え顕して後は只久遠の教相にて成仏肝要の観心には非ずと云云。 籤一に云く本中体等迹と殊ならず 脱益の妙覚乃至観行相似等の妙法蓮華経は理に即して事を含む、然も本迹一致に非ず破廃立本云云。 玄七に云く権実は智に約し教に約す 化他不定の時施す所の権実八教なり 両所殊ならず 久遠の本・今日の脱益と両所なり。 籤七に云く理浅深無し故に不殊と曰う 本因本果の理を今日中間にも寿量顕本の理に推し入れて顕すと釈するなり。 籤七に云く経に約すれば是れ本門と雖も既に是れ今世迹中の本名本門と為す故に知んぬ、今日正く迹中利益に当る、乃至本成已後倶に中間と名く中間本を顕すに利益を得る者尚迹益を成ず況や復今日をや文。 意は久遠本果の迹を中間・今日の本と為す、又久遠名字の妙法の影を中間今日に垂迹する故に下種に対して脱益寿量を迹と得たる証拠に釈する是なり。 疏の一に云く衆生久遠に仏の善巧を蒙る 久遠下種霊山得脱。 籤十に云く故に知んぬ今日の逗会は昔の成熟の機に赴くことを 霊山下種・久遠得脱の益。 記二に云く本時の自行は唯円と合す 本時とは本因妙の時なり。 化他は不定亦八教有り 中間今日・化導の儀式なり。 玄七に云く迹の本は本に非ず 今日の本果妙の事なり。 本の迹は迹に非ず 本因妙の事なり。 本迹殊なりと雖も不思議一なり 本因妙の外全く迹無きなり迹門は即ち顕本の後は本無今有の方便無得道なりと中島の証俊何にと問われし時、俊範法印答えて云く不思議一と、求めて云く其の義如何、答えて云く文在迹門義在本門云云と、会して云く迹門既に益無し本門益有り本迹勝劣不思議一と云云。 妙楽云く権実は理なり本迹は事なり天台云く本迹を二経と為すと云えり 如来の本迹は理上の法相なり日蓮の本迹は事行の法相なり
 以上・脱の上の本迹勝劣口決畢んぬ


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