御書本文

秋元御書
1,075ページ

切の禍集まる、譬えば山に草木の滋きが如し、三災月月に重なり七難日日に来る、飢渇発れば其の国餓鬼道と変じ疫病重なれば其の国地獄道となる軍起れば其の国修羅道と変ず、父母・兄弟・姉妹をば簡ず妻とし夫と憑めば其の国畜生道となる、死して三悪道に堕つるにはあらず現身に其の国四悪道と変ずるなり、此れを謗国と申す。
 例せば大荘厳仏の末法・師子音王仏の濁世の人人の如し、又報恩経に説かれて候が如くんば過去せる父母・兄弟姉妹・一切の人死せるを食し又生たるを食す、今日本国亦復是くの如し真言師・禅宗・持斎等・人を食する者・国中に充満せり、是偏に真言の邪法より事起れり、竜象房が人を食いしは万が一顕れたるなり、彼に習いて人の肉を或は猪鹿に交へ・或は魚鳥に切り雑へ・或はたたき加へ或はすしとして売る、食する者数を知らず皆天に捨てられ守護の善神に放されたるが故なり、結句は此の国他国より責められ自国どし打ちして此の国変じて無間地獄と成るべし、日蓮・此の大なる失を兼て見し故に与同罪の失を脱れんが為め仏の呵責を思う故に知恩・報恩の為め国の恩を報ぜんと思いて国主並に一切衆生に告げ知らしめしなり。
 不殺生戒と申すは一切の諸戒の中の第一なり、五戒の初めにも不殺生戒・八戒・十戒・二百五十戒・五百戒・梵網の十重禁戒・華厳の十無尽戒・瓔珞経の十戒等の初めには皆不殺生戒なり、儒家の三千の禁の中にも大辟こそ第一にて候へ、其の故は「徧満三千界・無有直身命」と申して三千世界に満つる珍宝なれども命に替る事はなし、蟻子を殺す者・尚地獄に堕つ況や魚鳥等をや青草を切る者・猶地獄に堕つ況や死骸を切る者をや、是くの如き重戒なれども法華経の敵に成れば此れを害するは第一の功徳と説き給うなり、況や供養を展ぶ可けんや、故に仙予国王は五百人の法師を殺し・覚徳比丘は無量の謗法の者を殺し・阿育大王は十万八千の外道を殺し給いき、此等の国王・比丘等は閻浮第一の賢王・持戒第一の智者なり、仙予国王は釈迦仏・覚徳比丘は迦葉仏・阿育大王は得道の仁なり、今日本国も又是くの如し持戒・破戒・無戒・王臣・万民を論ぜず一同に法華経誹謗の国なり、設い身の皮を

この御書の最初のページ前のページ
タイトル 聖寿 対告衆 述作地
秋元御書 59   身延

日蓮大聖人御書

検索結果詳細 御書本文

秋元御書 1,075ページ

切の禍集まる、譬えば山に草木の滋きが如し、三災月月に重なり七難日日に来る、飢渇発れば其の国餓鬼道と変じ疫病重なれば其の国地獄道となる軍起れば其の国修羅道と変ず、父母・兄弟・姉妹をば簡ず妻とし夫と憑めば其の国畜生道となる、死して三悪道に堕つるにはあらず現身に其の国四悪道と変ずるなり、此れを謗国と申す。
 例せば大荘厳仏の末法・師子音王仏の濁世の人人の如し、又報恩経に説かれて候が如くんば過去せる父母・兄弟姉妹・一切の人死せるを食し又生たるを食す、今日本国亦復是くの如し真言師・禅宗・持斎等・人を食する者・国中に充満せり、是偏に真言の邪法より事起れり、竜象房が人を食いしは万が一顕れたるなり、彼に習いて人の肉を或は猪鹿に交へ・或は魚鳥に切り雑へ・或はたたき加へ或はすしとして売る、食する者数を知らず皆天に捨てられ守護の善神に放されたるが故なり、結句は此の国他国より責められ自国どし打ちして此の国変じて無間地獄と成るべし、日蓮・此の大なる失を兼て見し故に与同罪の失を脱れんが為め仏の呵責を思う故に知恩・報恩の為め国の恩を報ぜんと思いて国主並に一切衆生に告げ知らしめしなり。
 不殺生戒と申すは一切の諸戒の中の第一なり、五戒の初めにも不殺生戒・八戒・十戒・二百五十戒・五百戒・梵網の十重禁戒・華厳の十無尽戒・瓔珞経の十戒等の初めには皆不殺生戒なり、儒家の三千の禁の中にも大辟こそ第一にて候へ、其の故は「徧満三千界・無有直身命」と申して三千世界に満つる珍宝なれども命に替る事はなし、蟻子を殺す者・尚地獄に堕つ況や魚鳥等をや青草を切る者・猶地獄に堕つ況や死骸を切る者をや、是くの如き重戒なれども法華経の敵に成れば此れを害するは第一の功徳と説き給うなり、況や供養を展ぶ可けんや、故に仙予国王は五百人の法師を殺し・覚徳比丘は無量の謗法の者を殺し・阿育大王は十万八千の外道を殺し給いき、此等の国王・比丘等は閻浮第一の賢王・持戒第一の智者なり、仙予国王は釈迦仏・覚徳比丘は迦葉仏・阿育大王は得道の仁なり、今日本国も又是くの如し持戒・破戒・無戒・王臣・万民を論ぜず一同に法華経誹謗の国なり、設い身の皮を


  • 自由語検索
※複数入力の場合、単語をスペースで区切ってください。
検索オプション