御書本文
四条金吾殿御返事
四条金吾殿御返事 弘安元年九月 五十七歳御作
銭一貫文給いて頼基がまいらせ候とて法華経の御宝前に申し上げて候、定めて遠くは教主釈尊・並に多宝・十方の諸仏・近くは日月の宮殿にわたらせ給うも御照覧候ぬらん、さては人のよに・すぐれんとするをば賢人・聖人と・をぼしき人人も皆そねみ・ねたむ事に候、いわうや常の人をや、漢皇の王昭君をば三千のきさき是をそねみ帝釈の九十九億那由佗のきさきは憍尸迦をねたむ、前の中書王をば・をのの宮の大臣是をねたむ、北野の天神をば時平のおとど是をざんそうして流し奉る、此等をもて・をぼしめせ、入道殿の御内は広かりし内なれども・せばくならせ給いきうだちは多くわたらせ給う、内のとしごろの人人・あまたわたらせ給へば池の水すくなくなれば魚さわがしく秋風立てば鳥こずえをあらそう様に候事に候へば、いくそばくぞ御内の人人そねみ候らんに度度の仰せをかへし・よりよりの御心にたがはせ給へばいくそばくのざんげんこそ候らんに、度度の御所領をかへして今又所領給はらせ給うと云云、此れ程の不思議は候はず此れ偏に陰徳あれば陽報ありとは此れなり。
我が主に法華経を信じさせまいらせんと・をぼしめす御心のふかき故か、阿闍世王は仏の御怨なりしが耆婆大臣の御すすめによつて法華経を御信じありて代を持ち給う、妙荘厳王は二子の御すすめによつて邪見をひるがへし給う、此れ又しかるべし貴辺の御すすめによつて今は御心も・やわらがせ給いてや候らん・此れ偏に貴辺の法華経の御信心のふかき故なり、根ふかければ枝さかへ源遠ければ流長しと申して一切の経は根あさく流ちかく法華経は根ふかく源とをし、末代・悪世までも・つきず・さかうべしと天台大師あそばし給へり、此の法門につきし人あまた候いしかども・をほやけわたくしの大難・度度重なり候いしかば一年・二年こそつき候いしが後後には皆
タイトル | 聖寿 | 対告衆 | 述作地 |
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四条金吾殿御返事 | 57 | 身延 |
日蓮大聖人御書
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四条金吾殿御返事 1,180ページ
四条金吾殿御返事
四条金吾殿御返事 弘安元年九月 五十七歳御作
銭一貫文給いて頼基がまいらせ候とて法華経の御宝前に申し上げて候、定めて遠くは教主釈尊・並に多宝・十方の諸仏・近くは日月の宮殿にわたらせ給うも御照覧候ぬらん、さては人のよに・すぐれんとするをば賢人・聖人と・をぼしき人人も皆そねみ・ねたむ事に候、いわうや常の人をや、漢皇の王昭君をば三千のきさき是をそねみ帝釈の九十九億那由佗のきさきは憍尸迦をねたむ、前の中書王をば・をのの宮の大臣是をねたむ、北野の天神をば時平のおとど是をざんそうして流し奉る、此等をもて・をぼしめせ、入道殿の御内は広かりし内なれども・せばくならせ給いきうだちは多くわたらせ給う、内のとしごろの人人・あまたわたらせ給へば池の水すくなくなれば魚さわがしく秋風立てば鳥こずえをあらそう様に候事に候へば、いくそばくぞ御内の人人そねみ候らんに度度の仰せをかへし・よりよりの御心にたがはせ給へばいくそばくのざんげんこそ候らんに、度度の御所領をかへして今又所領給はらせ給うと云云、此れ程の不思議は候はず此れ偏に陰徳あれば陽報ありとは此れなり。
我が主に法華経を信じさせまいらせんと・をぼしめす御心のふかき故か、阿闍世王は仏の御怨なりしが耆婆大臣の御すすめによつて法華経を御信じありて代を持ち給う、妙荘厳王は二子の御すすめによつて邪見をひるがへし給う、此れ又しかるべし貴辺の御すすめによつて今は御心も・やわらがせ給いてや候らん・此れ偏に貴辺の法華経の御信心のふかき故なり、根ふかければ枝さかへ源遠ければ流長しと申して一切の経は根あさく流ちかく法華経は根ふかく源とをし、末代・悪世までも・つきず・さかうべしと天台大師あそばし給へり、此の法門につきし人あまた候いしかども・をほやけわたくしの大難・度度重なり候いしかば一年・二年こそつき候いしが後後には皆
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