御書本文

祈祷抄
1,352ページ

とも日は西より出づるとも・法華経の行者の祈りのかなはぬ事はあるべからず、法華経の行者を諸の菩薩・人天・八部等・二聖・二天・十羅刹等・千に一も来つてまほり給はぬ事侍らば、上は釈迦諸仏をあなづり奉り下は九界をたぼらかす失あり、行者は必ず不実なりとも・智慧はをろかなりとも・身は不浄なりとも・戒徳は備へずとも・南無妙法蓮華経と申さば必ず守護し給うべし、袋きたなしとて金を捨る事なかれ・伊蘭をにくまば栴檀あるべからず、谷の池を不浄なりと嫌はば蓮を取らざるべし、行者を嫌い給はば誓を破り給いなん、正像既に過ぎぬれば持戒は市の中の虎の如し・智者は麟角よりも希ならん、月を待つまでは灯を憑べし宝珠のなき処には金銀も宝なり、白烏の恩をば黒烏に報ずべし・聖僧の恩をば凡僧に報ずべし、とくとく利生をさづけ給へと強盛に申すならば・いかでか祈りのかなはざるべき。
 問うて云く上にかかせ給ふ道理・文証を拝見するに・まことに日月の天に・おはしますならば大地に草木のおふるならば、昼夜の国土にあるならば大地だにも反覆せずば大海のしほだにもみちひるならば、法華経を信ぜん人現世のいのり後生の善処は疑いなかるべし、然りと雖も此の二十余年が間の天台・真言等の名匠・多く大事のいのりをなすに・はかばかしくいみじきいのりありともみえず、尚外典の者どもよりもつたなきやうにうちをぼへて見ゆるなり、恐らくは経文のそらごとなるか・行者のをこなひのをろかなるか・時機のかなはざるかと、うたがはれて後生もいかんとをぼう。
 それは・さてをきぬ・御房は山僧の御弟子とうけ給はる父の罪は子にかかり・師の罪は弟子にかかるとうけ給はる、叡山の僧徒の薗城・山門の堂塔・仏像・経巻・数千万をやきはらはせ給うが、ことにおそろしく世間の人人もさわぎうとみあへるは・いかに・前にも少少うけ給はり候ぬれども今度くわしく・ききひらき候はん、但し不審なることは・かかる悪僧どもなれば三宝の御意にも・かなはず天地にも・うけられ給はずして、祈りも叶はざるやらん

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タイトル 聖寿 対告衆 述作地
祈祷抄 51    

日蓮大聖人御書

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祈祷抄 1,352ページ

とも日は西より出づるとも・法華経の行者の祈りのかなはぬ事はあるべからず、法華経の行者を諸の菩薩・人天・八部等・二聖・二天・十羅刹等・千に一も来つてまほり給はぬ事侍らば、上は釈迦諸仏をあなづり奉り下は九界をたぼらかす失あり、行者は必ず不実なりとも・智慧はをろかなりとも・身は不浄なりとも・戒徳は備へずとも・南無妙法蓮華経と申さば必ず守護し給うべし、袋きたなしとて金を捨る事なかれ・伊蘭をにくまば栴檀あるべからず、谷の池を不浄なりと嫌はば蓮を取らざるべし、行者を嫌い給はば誓を破り給いなん、正像既に過ぎぬれば持戒は市の中の虎の如し・智者は麟角よりも希ならん、月を待つまでは灯を憑べし宝珠のなき処には金銀も宝なり、白烏の恩をば黒烏に報ずべし・聖僧の恩をば凡僧に報ずべし、とくとく利生をさづけ給へと強盛に申すならば・いかでか祈りのかなはざるべき。
 問うて云く上にかかせ給ふ道理・文証を拝見するに・まことに日月の天に・おはしますならば大地に草木のおふるならば、昼夜の国土にあるならば大地だにも反覆せずば大海のしほだにもみちひるならば、法華経を信ぜん人現世のいのり後生の善処は疑いなかるべし、然りと雖も此の二十余年が間の天台・真言等の名匠・多く大事のいのりをなすに・はかばかしくいみじきいのりありともみえず、尚外典の者どもよりもつたなきやうにうちをぼへて見ゆるなり、恐らくは経文のそらごとなるか・行者のをこなひのをろかなるか・時機のかなはざるかと、うたがはれて後生もいかんとをぼう。
 それは・さてをきぬ・御房は山僧の御弟子とうけ給はる父の罪は子にかかり・師の罪は弟子にかかるとうけ給はる、叡山の僧徒の薗城・山門の堂塔・仏像・経巻・数千万をやきはらはせ給うが、ことにおそろしく世間の人人もさわぎうとみあへるは・いかに・前にも少少うけ給はり候ぬれども今度くわしく・ききひらき候はん、但し不審なることは・かかる悪僧どもなれば三宝の御意にも・かなはず天地にも・うけられ給はずして、祈りも叶はざるやらん


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