御書本文
やうやう心ぼそくなりし程に「卻後三月当般涅槃」と唱えさせ給いし事こそ心ぼそく耳をどろかしかりしかば諸菩薩二乗人天等ことごとく法華経を聴聞して仏の恩徳心肝にそみて、身命をも法華経の御ために投て仏に見せまいらせんと思いしに・仏の仰の如く若し涅槃せさせ給はば・いかに・あさましからんと胸さはぎして・ありし程に・仏の御年・満八十と申せし二月十五日の寅卯の時・東天竺・舎衛国・倶尸那城・跋提河の辺にして仏御入滅なるべき由の御音・上は有頂・横には三千大千界まで・ひびきたりしこそ目もくれ・心もきえはてぬれ、五天竺・十六の大国・五百の中国・十千の小国・無量の粟散国等の衆生・一人も衣食を調へず・上下をきらはず、牛馬・狼狗・鵰鷲・蟁蝱等の五十二類の一類の数・大地微塵をも・つくしぬべし・況や五十二類をや、此の類皆華香衣食をそなへて最後の供養とあてがひき、一切衆生の宝の橋おれなんとす・一切衆生の眼ぬけなんとす一切衆生の父母・主君・師匠死なんとすなんど申すこえ・ひびきしかば・身の毛のいよ立のみならず・涙を流す、なんだを・ながすのみならず・頭をたたき胸ををさへ音も惜まず叫びしかば・血の涙・血のあせ・倶尸那城に大雨よりも・しげくふり・大河よりも多く流れたりき、是れ偏えに法華経にして仏になりしかば仏の恩の報ずる事かたかりしなり。
かかるなげきの庭にても法華経の敵をば舌を・きるべきよし・座につらなるまじきよしののしり侍りき、迦葉童子菩薩は法華経の敵の国には霜雹となるべしと誓い給いき、爾の時仏は臥よりをきて・よろこばせ給いて善哉善哉と讃め給いき、諸菩薩は仏の御心を推して法華経の敵をうたんと申さば、しばらくも・いき給いなんと思いて一一の誓は・なせしなり、されば諸菩薩・諸天人等は法華経の敵の出来せよかし仏前の御誓はたして・釈迦尊並びに多宝仏・諸仏・如来にも・げに仏前にして誓いしが如く、法華経の御ためには名をも身命をも惜まざりけりと思はれまいらせんと・こそ・おぼすらめ。
いかに申す事は・をそきやらん、大地はささばはづるるとも虚空をつなぐ者はありとも・潮のみちひぬ事はあり
タイトル | 聖寿 | 対告衆 | 述作地 |
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祈祷抄 | 51 |
日蓮大聖人御書
検索結果詳細 御書本文
祈祷抄 1,351ページ
やうやう心ぼそくなりし程に「卻後三月当般涅槃」と唱えさせ給いし事こそ心ぼそく耳をどろかしかりしかば諸菩薩二乗人天等ことごとく法華経を聴聞して仏の恩徳心肝にそみて、身命をも法華経の御ために投て仏に見せまいらせんと思いしに・仏の仰の如く若し涅槃せさせ給はば・いかに・あさましからんと胸さはぎして・ありし程に・仏の御年・満八十と申せし二月十五日の寅卯の時・東天竺・舎衛国・倶尸那城・跋提河の辺にして仏御入滅なるべき由の御音・上は有頂・横には三千大千界まで・ひびきたりしこそ目もくれ・心もきえはてぬれ、五天竺・十六の大国・五百の中国・十千の小国・無量の粟散国等の衆生・一人も衣食を調へず・上下をきらはず、牛馬・狼狗・鵰鷲・蟁蝱等の五十二類の一類の数・大地微塵をも・つくしぬべし・況や五十二類をや、此の類皆華香衣食をそなへて最後の供養とあてがひき、一切衆生の宝の橋おれなんとす・一切衆生の眼ぬけなんとす一切衆生の父母・主君・師匠死なんとすなんど申すこえ・ひびきしかば・身の毛のいよ立のみならず・涙を流す、なんだを・ながすのみならず・頭をたたき胸ををさへ音も惜まず叫びしかば・血の涙・血のあせ・倶尸那城に大雨よりも・しげくふり・大河よりも多く流れたりき、是れ偏えに法華経にして仏になりしかば仏の恩の報ずる事かたかりしなり。
かかるなげきの庭にても法華経の敵をば舌を・きるべきよし・座につらなるまじきよしののしり侍りき、迦葉童子菩薩は法華経の敵の国には霜雹となるべしと誓い給いき、爾の時仏は臥よりをきて・よろこばせ給いて善哉善哉と讃め給いき、諸菩薩は仏の御心を推して法華経の敵をうたんと申さば、しばらくも・いき給いなんと思いて一一の誓は・なせしなり、されば諸菩薩・諸天人等は法華経の敵の出来せよかし仏前の御誓はたして・釈迦尊並びに多宝仏・諸仏・如来にも・げに仏前にして誓いしが如く、法華経の御ためには名をも身命をも惜まざりけりと思はれまいらせんと・こそ・おぼすらめ。
いかに申す事は・をそきやらん、大地はささばはづるるとも虚空をつなぐ者はありとも・潮のみちひぬ事はあり
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