御書本文

減劫御書 高橋殿御返事
1,467ページ

 今の代には正嘉の大地震・文永の大せひせひの時智慧かしこき国主あらましかば日蓮をば用いつべかりしなり、それこそなからめ文永九年のどしうち・十一年の蒙古のせめの時は周の文王の大公望をむかへしがごとく・殷の高丁王の傅悦を七里より請ぜしがごとくすべかりしぞかし、日月は生盲の者には財にあらず賢人をば愚王のにくむとはこれなり、しげきゆへにしるさず、法華経の御心と申すはこれてひの事にて候・外のことと・をぼすべからず、大悪は大善の来るべき瑞相なり、一閻浮提うちみだすならば閻浮提内広令流布はよも疑い候はじ。
 此の大進阿闍梨を故六郎入道殿の御はかへつかわし候、むかし・この法門を聞いて候人人には関東の内ならば我とゆきて其のはかに自我偈よみ候はんと存じて候、しかれども当時のありさまは日蓮かしこへゆくならば其の日に一国にきこへ・又かまくらまでもさわぎ候はんか、心ざしある人なりともゆきたらんところの人人めををそれぬべし、いままでとぶらい候はねば聖霊いかにこひしくをはすらんと・をもへば・あるやうもありなん、そのほど・まづ弟子をつかわして御はかに自我偈を・よませまいらせしなり、其の由御心へ候へ、恐恐。

高橋殿御返事

 高橋殿御返事
 米穀も又又かくの如し、同じ米穀なれども謗法の者をやしなうは仏種をたつ命をついで弥弥強盛の敵人となる、又命をたすけて終に法華経を引き入るべき故か、又法華の行者をやしなうは慈悲の中の大慈悲の米穀なるべし、一切衆生を利益するなればなり、故に仏舎利変じて米と成るとは是なるべし、かかる今時分人をこれまでつかはし給う事うれしさ申すばかりなし、釈迦仏・地涌の菩薩・御身に入りかはらせ給うか。
 其の国の仏法は貴辺にまかせたてまつり候ぞ、仏種は縁に従つて起る是の故に一乗を説くなるべし、又治部房・下野房等来り候はば・いそぎいそぎつかはすべく候、松野殿にも見参候はば・くはしくかたらせ給へ。

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タイトル 聖寿 対告衆 述作地
減劫御書     身延
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日蓮大聖人御書

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減劫御書 高橋殿御返事 1,467ページ

 今の代には正嘉の大地震・文永の大せひせひの時智慧かしこき国主あらましかば日蓮をば用いつべかりしなり、それこそなからめ文永九年のどしうち・十一年の蒙古のせめの時は周の文王の大公望をむかへしがごとく・殷の高丁王の傅悦を七里より請ぜしがごとくすべかりしぞかし、日月は生盲の者には財にあらず賢人をば愚王のにくむとはこれなり、しげきゆへにしるさず、法華経の御心と申すはこれてひの事にて候・外のことと・をぼすべからず、大悪は大善の来るべき瑞相なり、一閻浮提うちみだすならば閻浮提内広令流布はよも疑い候はじ。
 此の大進阿闍梨を故六郎入道殿の御はかへつかわし候、むかし・この法門を聞いて候人人には関東の内ならば我とゆきて其のはかに自我偈よみ候はんと存じて候、しかれども当時のありさまは日蓮かしこへゆくならば其の日に一国にきこへ・又かまくらまでもさわぎ候はんか、心ざしある人なりともゆきたらんところの人人めををそれぬべし、いままでとぶらい候はねば聖霊いかにこひしくをはすらんと・をもへば・あるやうもありなん、そのほど・まづ弟子をつかわして御はかに自我偈を・よませまいらせしなり、其の由御心へ候へ、恐恐。

高橋殿御返事

 高橋殿御返事
 米穀も又又かくの如し、同じ米穀なれども謗法の者をやしなうは仏種をたつ命をついで弥弥強盛の敵人となる、又命をたすけて終に法華経を引き入るべき故か、又法華の行者をやしなうは慈悲の中の大慈悲の米穀なるべし、一切衆生を利益するなればなり、故に仏舎利変じて米と成るとは是なるべし、かかる今時分人をこれまでつかはし給う事うれしさ申すばかりなし、釈迦仏・地涌の菩薩・御身に入りかはらせ給うか。
 其の国の仏法は貴辺にまかせたてまつり候ぞ、仏種は縁に従つて起る是の故に一乗を説くなるべし、又治部房・下野房等来り候はば・いそぎいそぎつかはすべく候、松野殿にも見参候はば・くはしくかたらせ給へ。


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