御書本文

下山御消息
354ページ

剋上して王位も臣下に随うべかりしを其の時又一類の学者有りて堅く此の法門を諍論せし上座主も両方を兼ねて事いまだきれざりしかば世も忽にほろびず有りけるか、例せば外典に云く「大国には諍臣七人・中国には五人・小国には三人・諍論すれば仮令政道に謬誤出来すれども国破れず乃至家に諫子あれば不義におちず」と申すが如し仏家も又是くの如し、天台・真言の勝劣・浅深事きれざりしかば少少の災難は出来せしかども青天にも捨てられず黄地にも犯されず一国の内の事にてありし程に人王七十七代・後白河の法皇の御宇に当りて天台座主明雲・伝教大師の止観院の法華経の三部を捨てて慈覚大師の総持院の大日経の三部に付き給う、天台山は名計りにて真言の山になり法華経の所領は大日経の地となる天台と真言と座主と大衆と敵対あるべき序なり、国又王と臣と諍論して王は臣に随うべき序なり一国乱れて他国に破らるべき序なり、然れば明雲は義仲に殺されて院も清盛にしたがひられ給う、然れども公家も叡山も共に此の故としらずして世静ならずすぐる程に災難次第に増長して人王八十二代隠岐の法皇の御宇に至つて一災起れば二災起ると申して禅宗・念仏宗起り合いぬ、善導房は法華経は末代には千中無一とかき、法然は捨閉閣抛と云云、禅宗は法華経を失はんがために教外別伝・不立文字とののしる、此の三の大悪法鼻を並べて一国に出現せしが故に此の国すでに梵釈・二天・日月・四王に捨てられ奉り守護の善神も還つて大怨敵とならせ給う然れば相伝の所従に責随えられて主上・上皇共に夷島に放たれ給い御返りなくしてむなしき島の塵となり給う詮ずる所は実経の所領を奪い取りて権経たる真言の知行となせし上日本国の万民等・禅宗・念仏宗の悪法を用いし故に天下第一・先代未聞の下剋上出来せり而るに相州は謗法の人ならぬ上・文武きはめ尽せし人なれば天許し国主となす随つて世且く静なりき、然而又先に王法を失いし真言漸く関東に落ち下る存外に崇重せらるる故に鎌倉又還つて大謗法・一闡提の官僧・禅僧・念仏僧の檀那と成りて新寺を建立して旧寺を捨つる故に天神は眼を瞋らして此の国を睨め地神は憤を含めて身を震ふ長星は一天に覆ひ地震は四海を動かす余此等の災夭に

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タイトル 聖寿 対告衆 述作地
下山御消息 56 下山兵庫光基 身延

日蓮大聖人御書

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下山御消息 354ページ

剋上して王位も臣下に随うべかりしを其の時又一類の学者有りて堅く此の法門を諍論せし上座主も両方を兼ねて事いまだきれざりしかば世も忽にほろびず有りけるか、例せば外典に云く「大国には諍臣七人・中国には五人・小国には三人・諍論すれば仮令政道に謬誤出来すれども国破れず乃至家に諫子あれば不義におちず」と申すが如し仏家も又是くの如し、天台・真言の勝劣・浅深事きれざりしかば少少の災難は出来せしかども青天にも捨てられず黄地にも犯されず一国の内の事にてありし程に人王七十七代・後白河の法皇の御宇に当りて天台座主明雲・伝教大師の止観院の法華経の三部を捨てて慈覚大師の総持院の大日経の三部に付き給う、天台山は名計りにて真言の山になり法華経の所領は大日経の地となる天台と真言と座主と大衆と敵対あるべき序なり、国又王と臣と諍論して王は臣に随うべき序なり一国乱れて他国に破らるべき序なり、然れば明雲は義仲に殺されて院も清盛にしたがひられ給う、然れども公家も叡山も共に此の故としらずして世静ならずすぐる程に災難次第に増長して人王八十二代隠岐の法皇の御宇に至つて一災起れば二災起ると申して禅宗・念仏宗起り合いぬ、善導房は法華経は末代には千中無一とかき、法然は捨閉閣抛と云云、禅宗は法華経を失はんがために教外別伝・不立文字とののしる、此の三の大悪法鼻を並べて一国に出現せしが故に此の国すでに梵釈・二天・日月・四王に捨てられ奉り守護の善神も還つて大怨敵とならせ給う然れば相伝の所従に責随えられて主上・上皇共に夷島に放たれ給い御返りなくしてむなしき島の塵となり給う詮ずる所は実経の所領を奪い取りて権経たる真言の知行となせし上日本国の万民等・禅宗・念仏宗の悪法を用いし故に天下第一・先代未聞の下剋上出来せり而るに相州は謗法の人ならぬ上・文武きはめ尽せし人なれば天許し国主となす随つて世且く静なりき、然而又先に王法を失いし真言漸く関東に落ち下る存外に崇重せらるる故に鎌倉又還つて大謗法・一闡提の官僧・禅僧・念仏僧の檀那と成りて新寺を建立して旧寺を捨つる故に天神は眼を瞋らして此の国を睨め地神は憤を含めて身を震ふ長星は一天に覆ひ地震は四海を動かす余此等の災夭に


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