御書本文
十法界明因果抄
十法界明因果抄 文応元年四月 三十九歳御作
沙門日蓮撰
八十華厳経六十九に云く「普賢道に入ることを得て十法界を了知す」と、法華経第六に云く「地獄声・畜生声・餓鬼声・阿修羅声・比丘声比丘尼声人道・天声天道・声聞声・辟支仏声・菩薩声・仏声」と已上十法界名目なり。
第一に地獄界とは観仏三昧経に云く「五逆罪を造り因果を撥無し大衆を誹謗し四重禁を犯し虚く信施を食するの者此の中に堕す」と阿鼻地獄なり、正法念経に云く「殺・盗・婬欲・飲酒・妄語の者此の中に堕す」と大叫喚地獄なり、正法念経に云く「昔酒を以て人に与えて酔わしめ已つて調戯して之を翫び彼をして羞恥せしむるの者此の中に堕す」と叫喚地獄なり、正法念経に云く「殺生・偸盗・邪婬の者此の中に堕す」と衆合地獄なり、涅槃経に云く「殺に三種有り謂く下中上なり○下とは蟻子乃至一切の畜生乃至下殺の因縁を以て地獄に堕し乃至具に下の苦を受く」文。
問うて云く十悪五逆等を造りて地獄に堕するは世間の道俗皆之を知れり謗法に依つて地獄に堕するは未だ其の相貌を知らざる如何、答えて云く堅慧菩薩の造・勒那摩提の訳・究竟一乗宝性論に云く「楽て小法を行じて法及び法師を謗じ○如来の教を識らずして説くこと・修多羅に背いて是真実義と言う」文、此の文の如くんば小乗を信じて真実義と云い大乗を知らざるは是れ謗法なり、天親菩薩の説・真諦三蔵の訳・仏性論に云く「若し大乗に憎背するは此は是一闡提の因なり衆生をして此の法を捨てしむるを為ての故に」文、此の文の如くんば大小流布の世に一向に小乗を弘め自身も大乗に背き人に於ても大乗を捨てしむる是を謗法と云うなり、天台大師の梵網経の疏に云く「謗は是れ乖背の名・絓て是れ解・理に称わず言実に当らず異解して説く者を皆名けて謗と為すなり己が宗に背くが故に罪を得」文、法華経の譬喩品に云く「若し人信ぜずして此の経を毀謗せば則ち一切世間の仏種を断
タイトル | 聖寿 | 対告衆 | 述作地 |
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十法界明因果抄 | 39 | 鎌倉 |
日蓮大聖人御書
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十法界明因果抄 427ページ
十法界明因果抄
十法界明因果抄 文応元年四月 三十九歳御作
沙門日蓮撰
八十華厳経六十九に云く「普賢道に入ることを得て十法界を了知す」と、法華経第六に云く「地獄声・畜生声・餓鬼声・阿修羅声・比丘声比丘尼声人道・天声天道・声聞声・辟支仏声・菩薩声・仏声」と已上十法界名目なり。
第一に地獄界とは観仏三昧経に云く「五逆罪を造り因果を撥無し大衆を誹謗し四重禁を犯し虚く信施を食するの者此の中に堕す」と阿鼻地獄なり、正法念経に云く「殺・盗・婬欲・飲酒・妄語の者此の中に堕す」と大叫喚地獄なり、正法念経に云く「昔酒を以て人に与えて酔わしめ已つて調戯して之を翫び彼をして羞恥せしむるの者此の中に堕す」と叫喚地獄なり、正法念経に云く「殺生・偸盗・邪婬の者此の中に堕す」と衆合地獄なり、涅槃経に云く「殺に三種有り謂く下中上なり○下とは蟻子乃至一切の畜生乃至下殺の因縁を以て地獄に堕し乃至具に下の苦を受く」文。
問うて云く十悪五逆等を造りて地獄に堕するは世間の道俗皆之を知れり謗法に依つて地獄に堕するは未だ其の相貌を知らざる如何、答えて云く堅慧菩薩の造・勒那摩提の訳・究竟一乗宝性論に云く「楽て小法を行じて法及び法師を謗じ○如来の教を識らずして説くこと・修多羅に背いて是真実義と言う」文、此の文の如くんば小乗を信じて真実義と云い大乗を知らざるは是れ謗法なり、天親菩薩の説・真諦三蔵の訳・仏性論に云く「若し大乗に憎背するは此は是一闡提の因なり衆生をして此の法を捨てしむるを為ての故に」文、此の文の如くんば大小流布の世に一向に小乗を弘め自身も大乗に背き人に於ても大乗を捨てしむる是を謗法と云うなり、天台大師の梵網経の疏に云く「謗は是れ乖背の名・絓て是れ解・理に称わず言実に当らず異解して説く者を皆名けて謗と為すなり己が宗に背くが故に罪を得」文、法華経の譬喩品に云く「若し人信ぜずして此の経を毀謗せば則ち一切世間の仏種を断
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