御書本文

下山御消息
348ページ

涅槃の後無量百歳に四道の聖人も悉く復涅槃せん正法滅して後像法の中に於いて当に比丘有るべし、持律に似像し少く経を読誦し飲食を貪嗜して其の身を長養せん、乃至袈裟を服すと雖も猶猟師の細視徐行するが如く猫の鼠を伺うが如く外には賢善を現し内には貪嫉を懐き啞法を受けたる婆羅門等の如く実に沙門に非ずして沙門の像を現し邪見熾盛にして正法を誹謗せん」等云云、此の経文に世尊未来を記し置き給う、抑釈尊は我等がためには賢父たる上明師なり聖主なり、一身に三徳を備へ給へる仏の仏眼を以て未来悪世を鑑み給いて記し置き給う記文に云く「我涅槃の後無量百歳」云云仏滅後二千年已後と見へぬ、又「四道の聖人悉く復涅槃せん」云云、付法蔵の二十四人を指すか、「正法滅後」等云云像末の世と聞えたり、「当に比丘有るべし持律に似像し」等云云今末法の代に比丘の似像を撰び出さば日本国には誰の人をか引き出して大覚世尊をば不妄語の人とし奉るべき、俗男俗女比丘尼をば此の経文に載たる事なし但比丘計なり比丘は日本国に数を知らず、然るに其の中に三衣一鉢を身に帯せねば似像と定めがたし唯持斎の法師計相似たり一切の持斎の中には次下の文に持律ととけり律宗より外は又脱ぬ、次下の文に「少し経を読誦す」云云相州鎌倉の極楽寺の良観房にあらずば誰を指し出だし経文をたすけ奉るべき、次下の文に「猶猟師の細視徐行するが如く猫の鼠を伺うが如く外には賢善を現し内には貪嫉を懐く」等云云両火房にあらずば誰をか三衣一鉢の猟師伺猫として仏説を信ず可し、哀れなるかな当時の俗男・俗女・比丘尼等・檀那等が山の鹿・家の鼠となりて猟師・猫に似たる両火房に伺われたぼらかされて今生には守護国土の天照太神・正八幡等にすてられ他国の兵軍にやぶられて猫の鼠を捺え取るが如く猟師の鹿を射死が如し、俗男・武士等は射伏・切伏られ俗女は捺え取られて他国へおもむかん王昭君・楊貴妃が如くになりて後生には無間大城に一人もなく趣くべし。
 而るを余・此の事を見る故に彼が檀那等が大悪心をおそれず強盛にせむる故に両火房・内内諸方に讒言を企てて

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タイトル 聖寿 対告衆 述作地
下山御消息 56 下山兵庫光基 身延

日蓮大聖人御書

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下山御消息 348ページ

涅槃の後無量百歳に四道の聖人も悉く復涅槃せん正法滅して後像法の中に於いて当に比丘有るべし、持律に似像し少く経を読誦し飲食を貪嗜して其の身を長養せん、乃至袈裟を服すと雖も猶猟師の細視徐行するが如く猫の鼠を伺うが如く外には賢善を現し内には貪嫉を懐き啞法を受けたる婆羅門等の如く実に沙門に非ずして沙門の像を現し邪見熾盛にして正法を誹謗せん」等云云、此の経文に世尊未来を記し置き給う、抑釈尊は我等がためには賢父たる上明師なり聖主なり、一身に三徳を備へ給へる仏の仏眼を以て未来悪世を鑑み給いて記し置き給う記文に云く「我涅槃の後無量百歳」云云仏滅後二千年已後と見へぬ、又「四道の聖人悉く復涅槃せん」云云、付法蔵の二十四人を指すか、「正法滅後」等云云像末の世と聞えたり、「当に比丘有るべし持律に似像し」等云云今末法の代に比丘の似像を撰び出さば日本国には誰の人をか引き出して大覚世尊をば不妄語の人とし奉るべき、俗男俗女比丘尼をば此の経文に載たる事なし但比丘計なり比丘は日本国に数を知らず、然るに其の中に三衣一鉢を身に帯せねば似像と定めがたし唯持斎の法師計相似たり一切の持斎の中には次下の文に持律ととけり律宗より外は又脱ぬ、次下の文に「少し経を読誦す」云云相州鎌倉の極楽寺の良観房にあらずば誰を指し出だし経文をたすけ奉るべき、次下の文に「猶猟師の細視徐行するが如く猫の鼠を伺うが如く外には賢善を現し内には貪嫉を懐く」等云云両火房にあらずば誰をか三衣一鉢の猟師伺猫として仏説を信ず可し、哀れなるかな当時の俗男・俗女・比丘尼等・檀那等が山の鹿・家の鼠となりて猟師・猫に似たる両火房に伺われたぼらかされて今生には守護国土の天照太神・正八幡等にすてられ他国の兵軍にやぶられて猫の鼠を捺え取るが如く猟師の鹿を射死が如し、俗男・武士等は射伏・切伏られ俗女は捺え取られて他国へおもむかん王昭君・楊貴妃が如くになりて後生には無間大城に一人もなく趣くべし。
 而るを余・此の事を見る故に彼が檀那等が大悪心をおそれず強盛にせむる故に両火房・内内諸方に讒言を企てて


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